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世代の人々が負うべき負担を推計するための関連データの捕捉が重要であります。特に日本にとりましては、統計の開発が緊急にこの新規の分野に向けられなければなりません。

統計公務員の研修の形による人材開発は、常に、統計の持続的発展のための鍵でありました。統計部局のなかには、内部研修プログラムを持っているところもありますが、官庁統計についての大学レベルの研修をさらに開発すべきであります。しかしながら、非常に必要とされる統計技術についての現代的な知識の獲得のために、ほとんどの発展途上国は、例えば外部コンサルタントの支援あるいは外国での研修への派遣に依存しております。

1970年に設置されて以来、SIAPは、東京において、さらにまた、国レベルにおいても、アジア太平洋地域の各国の統計局あるいは研修機関と協力して、統計研修コースを継続的に実施してまいりました。一般コースでは、比較的若いジュニアの統計専門家に対して、基礎的、実務的な統計と統計におけるコンピータ利用について研修が行われております。より上級のコースあるいはセミナー、あるいはデータの分析、解釈など専門的な課題についてのワークショップも行われております。研修指導者の研修も、研修プロセスをスピードアップするために重視されております。様々なコースのカリキュラムを時々改訂しながら、特に最近の世界サミットでも審議されているような新しい課題分野も取りこんでいきたいと思っております。

ここ1年間、加盟国並びに国際機関との協力関係を発展させ、各国レベルにおける研修能力を高め、また、地域レベルまたはサブリージョナルなレベルにおいて、専門家を十分に活用して、研修コース、ワークショップ、セミナーを行う努力がなされてまいりました。これによって、地域内での研修の機会を作り出し、研修能力を高めようとするものであります。これからの2〜3年間、SIAPは、UNDPの第6次国家間プログラムに基づいて、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)の発展途上加盟国が国としての人間開発報告書を作成する上で必要とする各国のデータ収集、作成、統計分析に関する国家の能力を創出し、強化するためのプログラムと活動を始めるでありましょう。特に、SIAPの財政基盤を確固たるものとするために、ESCAP加盟国、並びに国際機関からのより多くの支援が重要であります。

本日のシンポジウムでは、経済成長のみならず人間の福祉の進展をも測定するための現行の統計フレームワーク、社会経済の進歩の持続可能性を確保するための政策と意思決定を容易にするようなデータへの需要、新しい統計プログラムから生じる資源や研修への需要、について全体的な評価がなされることと思います。本日のシンポジウムにご参加の皆様方におかれましては、地域の国々からおいでのすばらしい報告者の方々の6つの論文とこれらについての討議から、多くの見解と経験を学ぶことができるものと確信しております。本日の熱心な討議を期待し、そして、ご静聴に感謝いたします。

 

 

 

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