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こんなに面白い。
こんなに凄い。
台湾映画の全体像をご覧ください。

1980年代のはじめに巻き起こった台湾映画の新しい波。それは、フランスのヌーベルバーグを思わせる鮮烈な才能の登場でした。以来、「台湾ニューウェーブ」と呼ばれる新世代映画人の活躍はめざましく、わけても、候考賢監督『悲情城市』(1989)のベネチア映画祭グランプリ受賞は、世界中の映画界を揺り動かす大きなエポックとなりました。つづいて、エドワード・ヤン、アン・リー、蔡明亮も次々に世界のフロントへ。しかし、こうした監督たちの活躍がありながら、台湾映画全体の歩みについては、これまで振り返られることがありませんでした。この<台湾映画祭>では、日本初上映の古典的名作から新作まで50本を一挙に上映。台湾映画の足取りを大局的に展観する、世界で初めてのきわめて価値ある試みです。 今回の映画祭にために権利を取得した作品は、日本と台湾の末永い文化交流という趣旨により、映画祭終了後、日本国内の映画ライブラリーの貴重な文化遺産として収蔵されます。

さあ、いよいよ台湾映画祭です。台湾映画は日本ではファンの多く、よく知られているようですが、じっさいには知られているのは氷山の一角です。広く国際的に注目されるようになった1980年代より前の時代のほうが、台湾映画としては産業としても娯楽としてもむしろ黄金時代であり、その時代に育った映画人たちがニューウェーブの担い手になったのです。今回の台湾映画祭は、ニューウェーブはもちろん、その土台となった時代も綜合的に展望して、台湾映画の全体像をご覧いただけるように大きな視野で作品を選びました。こんな面白い映画があったのか、こんなすごい作家がいたのか、という発見が多々あります。映画好きの方々、台湾に関心をお持ちの方々はもちろん、広く一般の人々にとっても、楽しく親しめる作品がたくさんあります。ぜひごらん下さい。
佐藤忠男(台湾映画祭実行委員会・実行委員長)

 

 

 

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