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2)観光振興による住民以外の利用増加方策の検討

住民の足としての役割を果たすための健全な経営維持には、住民の利用率の向上に加えて観光振興による住民以外の利用増加によって収入を増やす必要がある。

舞鶴市内には、「舞鶴港とれとれセンター」、「赤レンガ博物館」、「引揚記念館」等の観光拠点はあるが、舞鶴汽船の寄港地周辺には、これといった観光拠点がなく、舞鶴汽船の体制不備もあって、これまで観光客はほとんどなかった。しかし、関西電力の発電所建設に伴い、PR館や斜張橋が建設されることから、湾岸地域への観光客の入れ込みが期待できる。

舞鶴市においても観光振興には力を入れており、その中で舞鶴汽船に対しても大きな期待を寄せている。また、舞鶴市の市街地住民も舞鶴湾地域への観光施設の導入を望んでおり、それらの施設が整備されたら「行ってみたい」という人も多い(アンケート結果)。

舞鶴市への観光入込客は平成7年度で約90万人(うち京都府民が57%)である。関電PR館の内容等はまだ確定していないが、舞鶴市への観光客のうちの3分の1程度が訪れると仮定しても、来訪者は年間約30万人となる。

これらの来訪者のうちのどれくらいを舞鶴航路が輸送するかによって、利用者数は大きく変わる。観光振興による住民以外の利用増加方策としては、「関電PR館への直行便の設定」、「魅力ある企画商品の開発」、「積極的なPR活動の展開」、「アクセスの改良」、「湾内観光遊覧航路の積極的活用」がある。

以下、これらの方策を個別に検討する。

 

?間電PR館への直行便の設定

関電PR館は、舞鶴湾沿岸の最大の観光拠点となり得る施設であり、多数の来訪者が見込まれる。アクセス手段としては、東舞鶴方面からは新設道路があるが、西舞鶴方面からは海上ルートの利便性が高い。また、「船の形をしたPR館へ船で行く」という観光客も多いと思われることから、東舞鶴及び西舞鶴から直行便を運航し、時間とコスト面で陸上輸送手段と対抗できる体制をとることを検討する必要がある。

 

?魅力ある企画商品の開発

観光施設(ハード)があっても、それを利用する方法(ソフト)がなければ、利用者増は見込みにくい。これは、長崎県の伊王島航路の事例でも明らかである。

舞鶴航路は、これまで住民の足としての機能を果たしてきたため、観光客を吸引する魅力ある企画づくりは経験が乏しいと思われるが、市や観光協会あるいは旅行業者等との連携を強めて、観光拠点回遊ルートの設置と運賃割引などの導入を図る。関電PR館の完成までは、引揚記念館と舞鶴港とれとれセンターを結ぶルートなども検討する必要がある。

 

 

 

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