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2 地方公共団体の利用を念頭においた防災関係資料のデジタル化の概況

 

近年,インターネットやパソコン通信は,情報通信手段として急速に普及しつつあり,近い将来,日本(及び先進諸国)における基幹的情報通信手段になる(インターネット時代が到来すること)と見込まれる。特に,インターネットは,通信環境が整備されれば,それが有する映像(動画を含む),文字,音声の発信・収集機能を生かすことにより,情報発信・収集を低廉で容易に行うことが可能となると予想される。

このことは,インターネットを用いることにより,国,都道府県,市町村,その他の関係機関相互で有用な防災関係情報の発信・収集を低廉で容易に進められることを意味し,その結果,防災行政の効率化・科学化の条件が急拡大すると考えられる。

 

ところで,インターネットを利用するためには,発信・収集したい情報や資料がインターネット上で取り扱い可能なようにデジタル化されていることが必須となるが,防災関係機関においては,防災関係資料のデジタル化の遅れが広範に存在する。

この遅れの理由としては以下のことが考えられる。

? インターネットのような手段がなかったこれまでは,防災関係機関において防災資料をデジタル化する必要性が低かった。

? 防災関係機関で保有する資料は,表2.1.1に例示するように,各資料特有の特性(「属性」,「情報 量」,「保持形態」など)を有しているが,それぞれの特性に対応したデジタル化手法やその技術が以下 のように,これまでは不十分であった。

・防災関係資料のデータ量(これに含まれる情報量)が大量の場合は,デジタル化に多大な時間と費用を 要する。

・文字と図形の混在した資料を,文字をキャラクターで,図形をグラフィックイメージで(分離して)認識させる技術がこれまでは十分ではなかった。

例えば,「三」を,横3本線の図形として認識するのをグラフィックイメージで認識するという。「三」 を「さん」という漢数字として認識させることをキャラクターで認識するという。

・ほぼデジタル化されている資料と言えるワープロ化文書においても,ワープロ(ソフト)メーカーが異なる場合は互換性に乏しく,また,インターネット上で使用するための処理方法が異なる。

? これまでに開発・提供されたデジタル化手法やそのための技術は,特定の業種での使用を念頭に置いたものであり,地方自治体を含めた社会一般が日常的に使用するためのものではなかった。そのため,提供 されたデジタル化手法は極めて高価なものか,安価な場合は機能が不十分なものであった。

 

近年インターネット時代の到来を予測して,安価で高機能のデジタル化手法が提案されるようになってきている。しかしながら,それらのデジタル化手法は,防災関係資料の特性にどこまで対応可能であるか,また,対応可能な場合にはどのように用いるのが効果的であるかなどは明らかになっていない。

 

 

 

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