4. 日常的な活動の延長としての防災ボランティア
ー方、今どんな活動が必要とされているかを考え、被災地に迷惑をかけることなくボランティア活動を行っていた人たちも大勢います。
地震発生から10日目に、神戸を歩いていた時に、障害者への支援を呼びかけるビラが、電話ボックスや避難場所に貼り出してあるのを見かけました。
ビラには、「震災で被災し困っている障害者の情報を求めています。支援を求めている方、そして支援ができる方は、ここに電話をして下さい」という内容のメッセージが書いてあります。
震災から10日目の頃というのは、在宅の障害者や介護を必要とする高齢者などに対し、行政からはほとんど支援の手が届いていない時期でした。
このビラを貼っていたのは、これまで障害者の支援活動を幅広く行ってきた組織です。
その方達が、被災地に住む障害者の方たちの安否を気づかい、また、自分たちの培ってきた人的ネットワークを総動員して、障害者を救うボランティア活動に取り組んでいたのです。
災害時にボランティアが有効に活動するためには、どこにどのようなニーズがあるかを知った上で、集まってきたボランティアを受け入れ、上手に派遣するコーディネート機能を発揮できるかどうかが最も重要な要素となります。
この団体は、自分たちの日常的な活動のノウハウを、そのまま、震災という緊急事態に移行させたわけです。
同じようなボランティア活動として、震災以前から関西に居住する外国人の生活支援を行ってきたボランティア組織が、震災後に、外国人被災者に対し母国語で情報提供を行うテレホンサービスを開始した例もありました。
いずれも、日頃から、障害者や外国人という、社会的弱者を支援する活動を行っていたからこそ、被災者の切実なニーズに的確に対応することが可能だったのです。
災害が発生しその被害を受けた被災者も、悲しみや絶望から立ち上がり、いずれ自分の力で人生を再建しなければなりません。その自分で立ち直ろうとする力が最大限発揮できるように手伝うのがボランティアの役割です。
ボランティアは、誰かに強制されてやるものではなく、あくまでも「自分の意思で」行うものです。したがって自由が尊重されなければなりませんが、同時に、ボランティアとしてのルールを忘れた活動をすることは許されないのです。
災害現場ではボランティアが主役になってはいけません。被災地と被災者の生活再建のために、何をすべきなのかを考える力を持ったボランティアが、あくまでも脇役に徹して被災者を支えてこそ、ボランティアの善意が本当に生かされるのです。