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パワー・ポリシー

アメリカと日本の両国は、アジアに山積する緊張を緩和するための経済と安全保障上の方策の合わさったパッケージの設立及び安定したエネルギーの将来に関する信頼醸成を主導するに将に適している。

事実、先見性のあるエネルギー計画は、1996年春東京で開催されるクリントン大統領と日本の橋本首相の日米首脳会談に重要な寄与をすることとなろう。会談の全般応答では、次の4つの緊急テーマが述べられるものと見られる。即ち、マラッカ海峡を通って、連綿として増え続ける石油の流れに対する安全保障、中国を含むアジアにおける石油備蓄の安定的整備の奨励、核拡散防止及び原子力発電に関連する安全運転と使用済み燃料の保管の問題、エネルギー節約と同じく費用効率が良く、環境の面で許容し得る代替エネルギー源の開発促進である。

クリントン政権の最近の動きとして、1995年半ばに発表された有事における商船の航行・護衛に対するアメリカの意欲についての宣言を含め、ペルシャ湾から東アジアに至る戦略エネルギー・シーレーンにおける航行の自由を再確認する上で進展があった。アメリカの宣言は南シナ海に焦点が置かれているが、マラッカ海峡の西側の水路もまた重要である。

自由航行に対するコミットメントを信頼あるものとするため、この地域に十分な能力を維持しようとするアメリカの意図は今後再確認され続けなければならない。現在、アメリカの意図や能力はいずれも疑問はないものの、中国の外洋海軍(ブルーウォーター・ネービー)が作戦可能となり、おそらく孤立主義の感情がアメリカの決意をぐらつかせはじめるようになると、2000年以降、その構図に変化が起こるのではなかろうかということを多くのアジアの人々が懸念している。

朝鮮有事に対する日本の積極的介入はより小さくなるものの、南方の航路及び特に重要な国々、とりわけインドネシアとインドの安全保障の確保が日米間の長期的テーマとして次第に大きく浮かび上がるのである。そのような努力目標の変更は疑いなく北東アジア諸国がこぞって歓迎するところであろう。これに反して、東南アジア諸国の多くは、すでに日本が700億ドル以上の直接投資を行こなっているこの地域に対して、日本が今まで以上に関係を深めることを歓迎するであろう。東南アジアには、特にエネルギーの効率化及びインフラの整備分野において日米両国によるいろいろな合同計画の可能性がある。

中国とインドネシアが大規模なエネルギー輸入国となることを防ぐことは、全ての関係

 

 

 

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