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うみのバイブル第3巻(米国海軍・シーレーン・海洋地政学入門に関する基礎的な論文)

 事業名 公海の自由航行に関する普及啓蒙
 団体名 国際経済政策調査会 注目度注目度5


米国海軍情報局カルター論文(1997年11月)

SLOC防衛の経済学の過大評価をただす

 

ダニエル・カルター論文(米国海軍情報局)

 

1. イントロダクション

 

シーレーン防衛、ないしは軍事用語でいうSLOC(海上の交通路)は、長く、世界の海軍の存在理由であった。軍隊や物資を最短最速ルートで輸送するために、シーレーンの安全を維持することは、歴史を通して軍事的な意味があることとされてきた。しかし、こと経済に関していえば、SLOCの安全を維持することの価値は世界的に大幅に低下してきている。SLOC防衛の感情的な使命感を一皮むいてしまえば、特定のシーレーンを安全に維持することの経済的な価値は疑問である。

 

さらに、SLOCの定義は、今日では、混乱し正確性を欠いたものとなっている。実際、SLOCは、海峡や運河のような地理的な狭隘点(chokepoint)と同義とみなすことができる。この関係は重要である。なぜなら、アラブ湾岸から日本へのシーレーンの安全をというとき、船が横断していくアラビア海、インド洋、太平洋の防衛に言及することはまずないであろう。むしろ、SLOC防衛はホルムズ海峡、マラッカ海峡、台湾海峡の航行に焦点をあてる。これら海峡は、特定のシーレーンに関連する狭隘点である。船舶運行を効率的かつシステマティックに停止妨害しようとするなら、誰もが、船がどの方向にでも回避できる広い海の上を狙わず、狭隘点を狙うであろう。したがって、この論文中では、SLOCは狭隘点と同義語として用いることにする。

 

2. バックグラウンド

 

紋切り型なSLOCの見識を解体するまえに、この教条を生み出してきた力を吟味してみよう。第一に、経済的理由からのSLOC防衛という考え方の嚆矢となった、アルフレッド・テイラー・マハンの著書「歴史におけるシーパワーの影響1660年〜1783年」(1890年)。そこにそもそも問題があった。マハンの観察と教えは、古典的な重商主義(そこでは、自給自足の帝国が海上貿易の限られた果実をめぐって戦ったのだが)時代から引き出されたものであった。マハンの教えを今日の海事環境に当てはめるのは愚かであり、また、言うまでもないが危険である。なぜならば、それは、政策の大きな計算違いを招くからである。第二に、マハンの時代とは激変した海事環境に直面しながら、視野の狭い軍の役務からの見方にこだわり、マスメディアの力を無視し、そして、SLOCの教条を社会的に永続させてきたこと。

 

例えば、軍事計画参謀は、できる限り速やかにA地点からB地点に軍隊と物資を到着させることに意を注ぐ。SLOCは軍の目的達成を助けるから、だれもが軍にとって正しい

 

 

 

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