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21世紀米国海軍の作戦コンセプト(1997年)

米海軍戦略文書"Forward...From the Sea"(1994年)を肉付け

 

J.ジョンソン海軍大将(米国海軍作戦部長)

 

は じ め に

 

1992年、米国海軍と海兵隊は両者の21世紀のヴィジョンを結集する「…海から」を世に問い、それ以来、その方針にしたがうべく責務の確認に常に努めた。さらに、1994年には、この方針をさらに洗練した「前方…海から」を公刊した。21世紀に向けた海軍の急速なイノヴェイーションは、「…海から」と「前方…海から」によって今後とも推進されていくことになる。

 

私は海軍のヴィジョンを、作戦上の優位、リーダーシップ、チームワーク、プライドの4つの指針で説明するが、本稿では、そのうち作戦上の優位について論じる。作戦上の優位の指針とは、いかなる海軍、統合、あるいは提携の任務にも迅速かつ効果的に遂行できる能力を指す。また、いかなる敵にも決定的な優勢を保つ能力を指す。国家軍事戦略の三本柱は平時の関与、抑止・紛争防止、戦闘・戦勝であるが、それらの全てにわたり、「前方…海から」(海からの前方展開)作戦を遂行するための「方策」に対する指針が、ここで言う作戦上の優位の指針である。

 

本稿は21世紀の作戦上の優位を方向付けるものである。国家戦略を支える海軍力利用の新たな機会が、新技術と革新的な作戦コンセプトにより生まれつつある。「統合ヴィジョン2010は将来の合同演習における我々の総合的な役割を示した。今日、21世紀において、海洋に関する作戦からもたらされる利益を最大限に活用することは、我々の国家安全保障に対する最大の貢献となろう。

 

 

海軍は国家安全保障に対して独特の貢献をおこなう。それは、海上、海中、そして海を起点とした作戦展開の利益、から生じるのである。ここに「前方…海から」のメッセージの意味が込められている。米海軍は、前方展開型の海軍であるが、その主目的は、米国のパワー・プロジェクションを海から遂行することである。それは、平時のみならず、危機の時、そして戦時において遂行されるが、地域的にも、全世界の沿岸地域の事態に対応している。我々の任務はそこにあるのである。本稿では、我々が今日これをいかに行っており、将来において、これをどのように遂行するかについて述べる。

 

 

 

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