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でわずかに貢献している。XIA級には極めて旧式のテクノロジーが使われており、したがって最新のASTシステムによる探知、攻撃に対して極めて脆弱である。その上、1隻を継続的に哨戒させるためには最少限3隻が絶対に必要なので、その戦略的価値は疑わしい。攻撃型原潜は、魚雷を装備した5隻のHAN級SSNである。それらはXIA級と平行して開発され、同じ旧式テクノロジーが使われている。その主任務は明らかでなく、SSBNを支援してエリアASWに使えるが、対水上戦にも使われている。残りの潜水艦兵力は老朽化している52隻の通常型MING級及びROMEO級と、最近ロシアから取得したKILO級2隻及び新しい国産SONG級1隻から成る。後者はおそらく魚雷発射管から対艦巡航ミサイルを発射できるであろう。すべての艦は標準的なロシアの533mm魚雷発射管を装備し、特にロシアの高性能ウェーキ・ホーミング兵器を発射できる。

 

11.主要水上戦闘艦艇は駆逐艦、フリゲート含わせて50隻(LUHU、LUDA、JIANGWEI、JIANGDU及びCENGDU級)であり、その大部分は1970年代からのものである。それらは対水上戦に最大限活用され、いずれもSSMと火砲を装備している。しかし(短)SAMを装備するのはその50%以下で、防空能力は劣る。指揮統制、電子及び対潜水艦システムはいずれも現代の基準から見れば貧弱と推定される。PLANの大部分は1000隻近い小型の哨戒及び沿岸用戦闘艇とMCM艇から成り、その200隻はSSMを装備しているが、それらもきわめて限られた防空能力しか持たない。

 

12.PLANはかなりの両用戦兵力を保有するが、その主要戦闘艦艇は小型である。現在就役中の54隻の揚陸艦艇は(可動率100%というあり得ない前提に立っても)6100名の部隊、350両の戦車しか揚陸できない。確かに約140隻の小型揚陸艇(LCU、LCP及びLCT)が運用されているが、それらは本土に近接した作戦でしか使えないだろう。その上、現在の海軍歩兵は5000人から成る1個旅団だけなので、長年の間、PLA(N)はほどほどの遠距離両用襲撃能力にのみなんとか資金を供給してきた。しかし、この能力は変わりつつある。今では新しい艦級の揚陸艦艇(LST及びLSM)を建造中であることが判っている。これに加えて、中国は、「PLAの輸送艦の全隻数はQIONGSHA級兵員輸送艦の保有を含め、増加している」と述べ、報告が信頼できるとすれば、QIONGCSHA級は2個師団以上の部隊(24000人)を揚陸できるだろう。数字の是非は別として、PLAの両用戦能力を部隊輸送能力だけで見積ることは単純に割り切り過ぎてあろう。1ないし2個師団が進攻のための橋頭堡をどうにか確立できたとしても、部隊支援の重装備、弾薬その他の消耗資財を継続的に輸送、揚陸するためにはかなりの数の後方支援艦船が必要になる。この任務に成功するためには、後方支援兵力は天候のいかんにかかわらず、航空、水上、水中からの攻撃に対し四六時中の護衛-現在のPLAにおそらく不可能-が必要となる。その一番よい例が、3月23日の台湾の総統選挙に向けた一連の演習(コード名「ボディーガード96-8、12及び18」)で実証された。東シナ海及び南シナ海で行われた空水実弾発射の初めの2段階は比較的順調に進められ、PLAが協同作戦(実戦ではないが)において多少進歩したことを示した。しかし、3月18日から25日までに平潭と福建の沖で行われた大規模な3軍両用機動演習から成る第3段階は、成功とは言えなかった。これは天候-海上模様が荒れたわけではなく、単に初めの3日間濃霧と細雨のため視界が悪かっただけ―のためであった。そのため初期は少数の艦艇、航空機に限定され、3月21日に晴天が戻っ

 

 

 

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