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まづかせて全員を後ろ手に縛り上げた。乗組員に向かって叫び声を発し、銃を向けながら、乗組員が身につけていた指輪や貴重品を取り上げた。賊のますます抑制の効かなくなって行く様子を見て、乗組員は生命の危険を感じた。3人の乗組員が蹴られたり、拳固で殴られたり、銃床尾で殴られて怪我をした。海賊は午前3時40分に去って行った。

 

1996年7月25日ブラジルのバヒアサルバドールで海賊がアビラ号の船長の頭に38口径のスミス エンド ウエソン スペシャルを突きつけて金庫を開けさせた。この海賊は見張りがいたにも関わらず乗り込んできたが、船長が疑った通り見張りはグルであった。

 

PRCにはヨットの襲撃事件の報告がほとんどないが、それがおかしいというのは1996年9月27日に賊の襲撃にあってキース ヘドリー氏と言う人物が銃弾の犠牲になった事件で確認された。

 

自動小銃などの武器をもった4人のアルバニア人の海賊が快速モーターボートで海上を横切って地中海にあるギリシャの島コーフヘ行った。そこで一団は停泊中のヨットカレニア号にヘドリー氏とその友人3人が寝ているのを見つけた。海賊がそのヨットの附属船への綱を切ろうとした時に皆が目を覚まし、ヘドリー氏は賊を脅すつもりでショットガンを発砲した。賊は被害者全員を制圧して人質に取り、ヨット中を荒らし回った。警察が到着し、賊が逃げようとして撃ち合いが始まったのだが、キースヘドリー氏はその撃ち合いの最中に弾にあたり亡くなった。

 

第6章3節 海賊行為―航行中の船舶

 

海賊が航行中の船舶を狙うテクニックは領海、公海を問わない。もし違いがあるとすれば、それは対応の仕方が考慮に入れられる時のみだ。航行中の船舶に対する襲撃には海賊行為のタイプの中の1分野と言えるものがある。これには永久拿捕、長期拿捕、短期拿捕の区別がつけられる。

 

第6章3節その1 永久拿捕

これは極東地域において特別な問題と思える。1970年後半の極東地域調査班(FERIT)の報告で最初に注目され、その後1980年代にIMBに再び注目された。これはこの地域において船舶入手のために組織的犯罪により用いられるやり方である。

 

このやり方がほとんど普通のものとなった時、取り引き市場の状態は、貨物を運ぶための船を事前の備品調査もせずに取得したがる荷送り人が出るほどであった。手に入れたがる余り、取り引きで生じる圧力に荷送り人はいづれ手に入る船に対して慎重さを失うほどであった。

 

これは極めて簡単であった。犯罪グループは代理人や接触をする人のシステムから、貨物を運

 

 

 

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