4 地方税への税源配分の具体的な方策
これまで検討した分権型社会へ向けた国と地方の税源配分の方向性を踏まえ、地方税の充実の観点から、具体的にどのような国と地方の税源配分が考えられるか、すなわち、所得、消費、資産等に対する課税のうち、どの税種に重点を置き、また、その税種をどのように見直すことが考えられるのかという点を検討した。
(1) 地方税の充実を図る場合に適当と思われる税種とその方策について
地方税の充実を図る場合において、どのような税種による充実をすべきかという点については、様々な議論がある。例えば、住民の自治意識の涵養のためには、地域住民(個人)に税負担が認識されやすい個人所得課税に重点を置く考えもあり、担税力のある企業に対する法人所得課税に重点を置く考えもある。また、安定性のある消費課税や、固定資産税のような資産課税を充実すべきとする考えなど、様々な考え方がある。
この点について、アンケート調査で、地方税の充実を図る場合にはどのような税種により、具体的にどのような方策が適当と考えられるかという質問(問4)をしたところ、地方公共団体からは、消費課税(具体的には、地方消費税率の引き上げ)を選択した回答が最も多かった(151団体、66.2%)。次いで、法人所得課税(具体的には、法人事業税の外形標準課税の導入、赤字法人課税への課税の適正化、法人均等割の引き上げ等)(88団体、38.6%)、個人所得課税(具体的には、所得税から個人住民税への税源移譲)(59団体、25.9%)が多かった。このうち、都道府県からの回答では、消費課税(38団体、80.9%)に次いで法人所得課税(30団体、63.8%)を回答した団体が多く見られた。
(2) 国と地方の役割分担が大幅に見直された場合における国から地方への税源移譲を含めた税源配分の見直しについて
国と地方の役割分担が大幅に見直されたと仮定した場合、地方税の充実を図るに際しては、国から地方への税源移譲を含めた国と地方の税源配分の見直しを行うことが考えられる。ここでは、そのための具体的な方策としてどのようなものが考えられるかを検討してみた。