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? 今回の研究テーマを検討するに当たり、地方公共団体や有識者を対象にして、国と地方の税源配分のあり方に関してアンケート調査を行ったところである(第三部参照)。このアンケート調査において、国と地方の税源配分のあリ方を考えた場合、どのようなかたちが最も望ましいかという問い(問1)に対し、地方税の割合を増やすべきであるとの回答(「国庫補助金を縮小し地方税の割合を増やすべきである。」、「国庫補助金及び地方交付税のいずれも縮小し、地方税の割合を増やすべきである。」、「地方交付税を縮小し、地方税の割合を増やすべきである」)が最も多かった(158団体(人)、61.2%)。

地方公共団体の回答を見ると、都道府県、市はいずれも国庫補助金又は地方交付税を縮小し、地方税の割合を増やすべきであるとする回答が多数を占めたが、(都道府県:35団体、74.5%、市:72団体、76.6%)が、町村では、国庫補助金を縮小して地方交付税の拡充を求める回答(39団体、41.4%)が、地方税の割合を増やすべきとする回答(31団体、33.0%)よりも多かった。町村の回答は、現状では都市部以外の地域に税源が乏しいことを反映しているものと考えられ、できるだけ偏在性の少ない税源による地方税の充実が望まれる。

 

(3) 所得、消費、資産等の課税ベース別の税源配分の状況

 

租税体系は、所得、消費、資産等に対する課税のメリット、デメリットを勘案し、これらのバランスをとりつつ、その適切な組み合わせを考えることが必要である。このような観点からあるべき地方税体系について検討するため、国税及び地方税を所得、消費、資産及びその他の課税ベースに区分して、国と地方の税源配分の状況を見てみると(平成8年度)、国税では税収総額の60.6%が所得税、法人税という所得課税からなり、次いで消費税等の消費課税が、30.4%を占めている。これに対し地方税では、道府県税については道府県民税及び事業税で65%を占め、国税以上に所得課税中心となっている。(なお、平成9年度からは、地方消費税が導入され、道府県民税における消費課税のウェイトは、33.7%になる見込みである。)また、市町村税については、所得課税である市町村民税が44.4%となっており、所得課税の割合が国、都道府県よりも低くなっている一方で、固定資産税を中心とする資産課税が、51.7%と重要な地位を占めている(資料6 国税、地方税における所得・消費・資産等の割合)。

 

 

 

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