日本財団 図書館


京都市における環境行政の現状と課題

京都市総合企画局政策企画室参事

星川茂一

 

は じ め に

京都市は,東山,北山,西山の緑豊かな三山と都心を南北に流れる鴨川,桂川に代表される,山紫水明の自然に恵まれた内陸に位置する都市であるが, 150万近い人口を抱える大都市として,これまで他の都市が経験したと同じような産業型公害や自動車公害,また廃棄物処理の対策に追われてきた。近年は,こうした環境汚染の防止に加えて,環境負荷の少ない都市活動,環境保全に資する都市構造への転換,更に地球環境問題への貢献が大きな課題となっている。

 

本稿は,広範囲にわたる環境行政のうち,本年度の大都市問題調査研究委員会でのテーマとされた「省資源,廃棄物対策」「快適環境の創造」「地球環境問題への取り組み」の3分野について,本市の現状と課題の概略をまとめたものである。

 

1 新京都市環境管理計画について

本市では,公害防止と環境保全に関する初めての長期総合計画として昭和49年に策定された「京都市公害防止基本計画」,更にこの計画を発展させた「京都市環境管理計画」(昭和61年4月策定)に基づいて環境行政を進めてきたところであるが,新しい時代に対応した環境保全対策をより総合的に推進するため,平成8年3月,市民,事業者,行政のパートナーシップによる環境負荷の少ないまちづくりをめざして「新京都市環境管理計画」(以下「新環境管理計画」という。)を策定した。

ここでは,前記3分野の現状と課題をまとめるにあたって,本市環境行政の基本的考え方を新環境管理計画に沿ってまとめておきたい。

 

(1)2つの基本理念と5つの基本原則

まず,新環境管理計画では,次の2点を本市環境政策の基本理念としている。

第1の理念は,環境行政の目的は市民の健全で恵み豊かな環境を享受す

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION