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人ひとりが省エネを考え、ライフスタイルを変えていくことが求められる。市民運動全国センター世話人である須田春海氏が述べられているとおり、「一人ひとりが直していく〜市民として直していく、消費者として直していく、有権者として直していく〜一人ひとりの実践の積み重ねで初めて変わること」である。

それでは、自治体はどのようにかかわるべきだろうか。

ここでは、川崎市の環境政策の基本となる「環境基本条例」の意義を述べた後、環境をすべての施策の基底とし最大限に尊重する同条例の趣旨を全面的に展開するために、具体的な事例をひきながら、「サステナブルシティ・かわさき」に向けた思索をめぐらせていくこととする。

 

1 如何にして具現化すべきか〜川崎市環境基本条例から

(1)川崎市環境基本条例から

平成三年に、川崎市環境基本条例が制定された。これは、環境政策の大きな転換を意図したものである。今日の環境問題は、自動車やフロンの使用に見られるとおり、市民生活それ自体も環境破壊の加害者性を持つに至っており、企業活動のみならず、市民一人ひとりの生活のあり方自体を見直す視点が必要となった。日々使用する製品、それを作りだすために使われる資源・エネルギー、そして、使用後の廃棄、それらの一つひとつ、市民生活にかかわるすべての環境要素、その影響の範囲は地球規模にまで拡大している。地球環境をみすえた地域環境政策の必要性、将来の影響を踏まえた科学的予見性や社会合意、経済のグローバル化のなかで、資源供給や廃棄物の処分における環境破壊が深刻化している現状などを踏まえたものである

川崎市環境基本条例は、第一条で「環境の資源としての有限性を認識し、その適正な保全及び活用を期する」とともに、「良好な都市環境の保全及び創造を図り、もって市民福祉に寄与する」とその目的を述べる。

第二条は、「市の環境政策は市民が安全で健康かつ快適な環境を享受する権利の実現を図るとともに、良好な環境を将来の世代に引き継ぐことを目的として展開する」とし、また、「市の施策は、環境政策を基底として、これを最大限に尊重して行うものとする」と規定する。

本市の環境基本条例は環境価値をすべての施策の基底に置く先駆的な認

 

 

 

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