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3 新たな時代への環境課題

(1)人口の増大と市街地の拡大

本市の人口はこれまで一貫して増加を続け、その間、市街地及び市中心部の人口集中地区(DID地区)も拡大してきた。都市化の進展は、資源・エネルギーの消費量や廃棄物の増大、自動車交通量の増加といった、環境に大きな負荷を与える結果を招き、さまざまな都市型の環境問題を引き起こしている。

例えば、都市部特有の現象であるヒートアイランド現象は、このまま推移すれば30年後には市中心部と郊外の温度差が10.5℃に拡大するという予測もある。都心部の気温の上昇は、快適性を阻害するだけでなく、乾燥化やダストドーム化による高齢者や子どもへの影響が指摘されている。

人口については、近年その伸びは鈍化し、21世紀中葉までには成長のピークを迎える可能性があるが、平成22年ごろまでは堅調な増加が続くと予想される。本市においても、今後、高齢・少子化傾向は一層進むものと見込まれ、個人の生活スタイルをはじめ、外延的拡大型の都市構造や社会全体のシステムに至る見直しを行い、自然と共生し環境への負荷を最小限にするような都市づくりの視点が必要となっている。

(2)自然環境の保全と再生

本市の恵み豊かな環境を将来の世代に継承していくためには、都市機能の適正配置を図り、都市と自然の調和・共生をめざす理念を具体化し、発展させていかなければならない。そのためには、生態系の保護、自然災害の防止、水源涵養等の観点から、制度に基づく規制的、誘導的手法を含めて、市民の参加、協力を得ながら、貴重な自然環境を積極的に保全していく方策の検討が必要である。また、単に自然と都市が「併存」するのではなく、文字どおり「共生」するあり方を追求していくために、自然の中に都市が存在するという視点を重視し、市街地の中に自然を積極的に再生していくことが重要である。緑の量の確保や水質の向上と併せて、自然生態系の再生や保水力の回復にも配慮し、緑と水の質・量両面からの保全と創造を図っていく発想も求められる。

さらに、農林業などの産業活動によって活用され、保全されてきた里山や農地等の、いわば二次的自然の保全のあり方が課題となる。生態系の維持や自然災害防止の機能を持ち、「杜の都」の骨格を形成する要素となっている二次的自然について、農林業の役割をあらためて認識するとともに、多様な保全策を講じていく必要がある。

 

 

 

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