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大都市においては、既存の自然環境というものがそれほど存在している訳ではないが、それでも川崎市においては、既存の農地を都市におけるグリーンオアシスとして有効利用を図るなど、地域の個性を活かした取組みが報告されている。

 

4 自治体レベルでの地球規模の環境破壊防止への取組み

(1)事業者としての自治体から発生する環境負荷の低減

政令指定都市をはじめ各都市においては、一人一人の自覚と積極的な取り組みが不可欠であるとの認識の下、行政主体が、率先して、電気自動車の導入や再生紙の利用など、身近なところから、省資源・リサイクル活動を行うことによって、住民の啓発と参加を促しているところである。

しかしながら、一部の施策については、その率先行動のシンボルであるという意味合いから、結果として、本来の効率的な資源の利用に必ずしも則らなくなっている施策の展開の可能性も指摘されている。

(2)市民・事業者に対する働きかけの推進

各都市においては、従来より、環境への負荷低減に向けて、監視・取締や環境保全事業の実施など各般の施策を推進してきたところであるが、これらの対症療法的な施策のみでは、根本的な問題の解決は図れないことは既に述べてきたとおりである。住民一人一人が毎日の暮らしの中で環境保全のために実行できる工夫や取組みを支援していくことが求められている。各都市においては、このような観点から、住民等による環境学習、環境保全活動を促進するための情報の提供等を行う環境学習センターや環境情報コーナーの整備を推進しているところである。しかしながら、現在のところ、環境問題の重要性が必ずしも全ての住民に理解されているとは言えず、また、頭では理解していても、実際の行動が必ずしも伴わない場合があるため、住民に問題の重要性を理解させ、かつ、自主的に行動を起こしてもらう仕組みが必要である。

(3)国際的な自治体の取組み

国レベルにおける環境施策の推進と相まって、自治体レベル・あるいは市民レベルにおける国際的な取組みが進められている。平成8年に開催された「地球温暖化防止京都会議」において、京都市は地方自治体として、中心的な役割を果たし、それを受けて、C02排出削減のための具体的方策を盛り込んだ「京のアジェンダ21」を策定した。神戸市においても、アジア・大平洋環境会議、地球環境フェアin神戸'97を開催して、環境問題の世界的なアピールに貢献するなど、我が国の大都市は、環境の分野において一定の成果を挙げているといえよう。さらに、名古屋市においては、タイ、インドネシア等の自治体間で環境交流活動を行うなど、国レベルの施策に対する支援・協力だけではなく、まさに、「足下からの取組み」も展開されていることを指摘しておく。

また、我が国大都市において激甚な公害を克服する過程で蓄積したノウハウや技術は、今後、産業化を進めていく開発途上国において有効かつ有用なものである。このため、国レベルにおいて、専門家の派遣や研修生の受け入れ事業などが推進されているが、最近では、草の根レベルでのこのような交流も増加しつつあ

 

 

 

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