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第5章 将来の展望

 

情報技術の進展ベースは非常に早く、この分野では、他の技術分野の4年分に相当する技術進歩が1年で実現されるとも言われている。このような急速な環境変化の中で、地方公共団体では、統合型GISにも必要に応じて、新しい技術を柔軟に取り込むことが求められる。

例えば、CALSと統合型GISとの連携が考えられる。この連携は、特に地方公共団体における民間からの調達分野において有効となろう。具体的には、ディスプレイ上の空間データ表示を見ながら、手続き・作業指示等を行ったり、資材の納入確認を空間データ上で行えるようになり、従来作業の効率化や、新サービスの提供が実現されるものと予想される。

また、統合型GIS自体に関わる技術環境にも、様々な変化が起こるものと予想される。システム関連では、ユーザーインターフェースの向上が大きなポイントになり得る。このことにより、GIS端末が更に容易に扱えるようになれば、統合型GISの日常業務フローへの組込みがさらに進むものと考えられる。統合型GIS自体は単なるコンピュータ・システムであり、職員が積極的に統合型GISを活用する流れが出来て始めて、本当の効果が発揮されることになる。そして、日常業務の中で、リアルタイムなデータ更新が実現されれば、データ精度の向上等に大いに役立つこととなろう。

さらに、インターネット技術を統合型GISに応用し、容易でかつ低コストなシステム導入を実現するイントラネット対応の統合型GISも登場してくるものと思われる。

次に、衛星を利用した測位システムであるGPSを活用することで、地方公共団体においても、高精度な空間データをリアルタイムで簡便に取得する事が可能となると予想される。精度の高い空間データの取得には、コスト面からの制約が多いが、今後はデータ作成手法の進歩により、データ整備コストの低滅化と精度の向上という相反する課題の解決が図られ、空間データ整備がさらに促進されるものと考えられる。

地方公共団体が庁内利用を前提として整備する空間データのうち、将来的には、都市計画関連データ等、公共性が高く、個人のプライバシー保護に抵触しない空間データを、ニーズに応じ、段階的に庁外に提供していく方向が現れてくるものと想定される。その場合、データ提供者の責任範囲や、データの著作権のあり方等に関して、明確にしていく必要があろう。

また、隣接する地方公共団体間において、空間データの相互交換により、環境や防災分野等においての広域的な連携を実現することが考えられる。

 

 

 

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