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さらに、制度変更と技術進歩を反映した、システムの柔軟な見直しを適時行っていくことが重要である。

なお、民間では効率的な共用データベースの構築等に関するノウハウが蓄積されており、そうした外部のノウハウを活用することも検討すべきである。

 

(c)運用段階

運用段階では、統合型GISの有効性を確保すべく、データとシステムインフラ双方のメンテナンスを、ニーズに合せ適切な技術レベルで実施する必要があり、そのための課題解決が必要となる。

 

?データ・メンテナンスに関する課題

運用段階のデータ・メンテナンスにおいては、データベース品質の維持が課題となる。技術的な観点から、データ更新のタイミングと、更新手段に関するルールを策定し、また、データだけではなく、データベースシステム全体の品質を検査・管理する方法を確立することが必要となる。この具体的な手法の選定に際しては、国際標準の動向を考慮していく。さらにデータそのものだけではなく、データに付随するメタデータの更新も実施していくことが求められる。

次に、データ鮮度と整合性の確保については、解決の方向として、業務フローの中にデータ更新作業を取り込むことで、データ更新のリアルタイム化を実現していくことが挙げられる。さらに、リアルタイム化を促進するためには、効率的な入力作業方法を確立していくことも見逃せない要素となる。データ更新に伴う、各データ間での更新周期のずれを回避し、出来るだけ整合性を確保していく仕組みの構築が望まれる。

また、データセキュリティの確保は、統合型GISの運用段階における重要な課題となる。このため、データの定期的なバックアップの実施と確実な保存が必要になる。なお、端末の無断使用や、外部からのネットワークを介したデータへの不正アクセス等の発見・防止手段を、技術的に確立することも肝要である。

 

?システムインフラ・メンテナンスに関する課題

運用段階のシステムインフラ・メンテナンスに関しては、まず陳腐化を回避し、最適な処理能力を維持することが課題となる。GISでは、画像データを大量に扱うため、高度な処理速度の確保が重要となる。そのためには、ソフトウェア・ハードウェアのバージョンアップへの対応を計画的に実施していくことが必要である。

そして、統合型GISに要求される機能を明確にし、新たなニーズが発生した場合の機能の付加と、利用度の低い機能の削減を行うことも留意すべき点である。

また、システムにおけるセキュリティ機能の維持も課題となる。解決のためには、組織改編・人事異動等によるアクセス権変更への機敏な対応が必要となる。データの閲覧・利用に係るアクセス権は、アクセスする人物の組織内での地位に応じて設定されることが多い。したがって、人事異動が生じた際、アクセス権は新たに地位についた人物に対して設定されることとなり、ID・パスワード等の変更に迅速に対応しなければならない。併せて、新規に整備されたデータには、新たにセキュリティレベルを設定する必要がある。

 

 

 

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