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全国どこにいっても同じような町、同じような建物、同じような道路ということではなくて、やはりそれぞれの地域が特性をいかして、あるいは住民の意向を反映して、独自の個性あるまちづくりを展開していくことが必要であり、そのことが地域の活力を呼び起こし、地域の方々が自分達の地域をこういうようにしようという夢を持ってやっていくことにつながるわけです。そのためには自分達の生活、地域のことを自分達の責任で決めてやっていくという形が、どうしても必要になってくるのです。

しかしこれは中央集権の体制、しかも縦割り行政のもとでは到底、実現ができないわけでありまして、地方の行政に関していいますと、そういう面では私はやはり行き詰まりにきている感じがするわけでございます。

そこで、この権限なり、財源なりというものをできるだけ中央から地方へ分けていき、地方が地域の住民の方々の意向にそって、行政を独自に展開していくという形に改めていかなければなりません。そのために地方分権をやるわけです。地方分権というのは、中央の省庁から都道府県に単に権限が移動するというだけのことではないわけでありまして、最終的には住民自治の体制というものを作りあげることが目的であろうと思います。

自分達のことは、自分達で決めていく。そして自分達が決めたことに対しては、きちんと自分達で責任を持つ。これはやはり民主主義の原点ではないかと思います。それが全部中央の行政で決められてしまうというのでは、到底、民主主義の先進国とはいえないわけです。そういう面から見まして、やはりここで日本は地方分権をやり、そして住民自治に到達して、本当の意味の民主主義の国になっていくことが、必要なのではないかと思います。

今我々が始めようとしていることは、まさにそういうことだと思っているわけでございます。もちろん地方分権推進委員会がやったことというのは、そんな大それたことではないわけでありまして、いわばそういう住民自治の方向に向かって行くための出発点をこしらえたというぐらいのことではないかと思っています。

 

 

 

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