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開会のあいさつ

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本日は大勢の皆様方にお集まりをいただきまして、大変ありがとうございます。「地方分権推進フォーラム'97in“いわて”」と題し、地方分権をこれからどのように推進していくのかということについて、皆様方と一緒に考えていきたいというフォーラムでございます。

今日は、まずはじめに、島森路子さんから基調講演をいただきました後に、パネルディスカッションにおいて、メンバーそれぞれの立場からの発言、意見交換というプログラムになっておりますが、内容のある充実したフォーラムにしたいと考えているところでございます。

ご案内のとおり、今年は、地方自治法が施行されましてから50周年の節目の年に当たりまして、地方自治を考えるいろいろな催しが全国各地で行われているところでございますが、特にここ数年の、地方自治・地方行政の論議の中では、やはり地方分権についてこれからどのように推進をしていくのか、そしてそれが理念だけではなくて、具体的にわれわれの日常生活にどのような影響を及ぼすのか、また、それを実効あらしめるためにはどうしたらいいのかといったようなことが、近年、特に熱心に、そして真剣に議論がなされるようになってきました。戦後50年以上経ちましたなかで初めてと言っていいほど真剣な、かつ実践的な議論が行われているのではないかと思っているところでございます。

国の方でも六つの構造改革ということで、財政構造改革による財政再建をはじめとして、いろいろな改革について議論をしているところでございますが、やはりそうしたすべての改革に共通して言えることは、国と地方の関係をどのように考えていくのかということが、それぞれの問題を考える大きなウエートを占めてきており、そのことを抜きにはいろいろな問題の解決が図られない、というような状況ではないかと思っております。そして、国と地方の関係を見直すということは、結局は、地方において責任を持って、住民の生活に密接に関係する行政をどう組み立てていくのか考えていくということにつながっているのです。

まちづくりなどの住民に身近な問題一つを考えてみても、今後の方向としては、やはり基本はわれわれ自身がしっかりと地域のことを考えて、そして、すぐ実現できるもの、いずれは実現すべきもの、あるいはしばらく時間がかかるものというように具体的な内容を真剣に議論して、その上で一つひとつ結論を出していくということ。しかしながら、一度結論が出た以上は、そのことについての責任を最後までその地域で担って、そして安易に国に助けを求めない、責任ある実行主体として最後までその問題に対処していくということがこれから必要ではないかと思っております。地方分権というのは、そういった意味では、一方ではバラ色の道であり、なおかつ一方ではイバラの道であり、大変われわれ自身にとって責任の重いことだと思いますけれども、やはりそうした過程を経て地方分権というものが、現実の姿として、見えてくるのではないかと考えているところでございます。

 

 

 

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