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リニューアル・アイランドを目指して

「石炭を魚に変えて島おこし」

豊田 定光(長崎県高島町長)

 

高島町は、長崎市から南西海上約14.5km、長崎港から高速艇で35分のところに位置し、高島・端島(軍艦島)・中ノ島・飛島の4つの島からなり、有人島は現在では高島のみです。また、面積1.27km3。人口は約1,050人であり、面積・人口ともに日本で一番小さな町でもあります。

高島は、石炭発見の地として有名であり、また、端島も元々は一つの瀬であったものを海底炭採炭の基地として、逐次周囲の海を蝉立て、高さ約10m程の岸壁を築き、その上に日本で最初の鉄筋高層アパートなどを築き、今日の人工島を形成したものであり、その姿から軍艦島としてよく知られ全国的に有名です。

しかし、昭和49年1月に炭量の枯渇により端島砿が、更に、昭和61年11月には石炭産業の転換期により高島砿が閉山し、約120年にわたる石炭の町としての歴史に幕を閉じることになりました。

基幹産業であった炭鉱の開山に伴い人口は激減(最盛期22,000人→現在約1,050人)し、経済社会は大きく後退して、町は崩壊の危機に直面しました。

このような状況の中で、町の生き残り策として、活路を拓くべく「石炭を魚に変えて島おこし」のキャッチフレーズのもとに計画した「マリノベーション拠点漁港漁村総合整備計画」が全国10地区のうちの一つとして平成3年3月に認定を受けました。(平成7年3月「高島地区新マリノベーション拠点交流促進総合整備計画」として再認定)

この計画により漁港の修築事業をはじめ磯釣り公園や人工海水浴場などの整備を行い、水産業の振興や都市との交流を推進し、地域の活性化を図るべく事業を進めているところでございます。

中でも磯釣り公園は、高島から250m程離れた飛島まで防波堤と橋で結び飛島一帯を釣り公園として整備するものです。飛島は一年中さまざまな魚が回遊し恵まれた漁場としてよく知られ、瀬渡船などで渡っていた釣りの好ポイントでもあったことから計画当初から大きな反響を得ていました。

この飛島磯釣り公園を昨年7月20日にオープンし、同時に釣大会を開催いたしましたところ当日は460人もの参加者で町は久し振りに活気に溢れ大変な賑いを見せていました。また、期待どおりに釣果の方も様々な魚種が釣れており、冬場の現在でも休日などは本格的な釣り師や家族連れなどで賑わっています。

更にこれを契機に町のシンボルマークである町章を改正したり、新たにコミュニケーションマークを制定したり、町のイメージソングCDを製作したりと町再生に向けて様々な取組みを行っています。

高島が描く未来図は、決して「高級リゾートの島」ではなく、家族みんなが気軽に楽しめる「ファミリーの島」でありたいと考えます。サンサンと輝く太陽、キラキラと光る海。美しい島の大自然の中で、初めての人でも気軽にフィッシングを楽しんだり、家族みんなで泳いだり、浜辺でバーベキューをしたり、また、のんびりと一晩中星を眺めていたり、そんな心身ともにリフレッシュできるような島でありたいと思います。

このように日本一小さい高島町は、石炭の島から海を核とした観光の島へと着実に生まれ代わろうとしています。

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