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自治だより 平成9年11月号

(奇数月発行)

(通巻No.122)

 

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市町村合併の推進について

遠藤 安彦(自治事務次官)

 

去る10月9日に、地方分権推進委員会から第4次の勧告がなされ、当初予定されていた課題の全てについて具体的な指針がひととおり勧告されたことになった。これら4次にわたる地方分権推進委員会からの勧告は、今後、政府において地方分権推進計画の策定を通じ、最終的には所要の法令改正を経て具体的に実現されていくこととなる。明治以来続いてきたわが国の中央集権型の行政システムを変革する大きな第一歩を踏み出すものといえよう。特に、国と地方公共団体との関係を上下・主従の関係においてきた行政システムとしての機関委任事務制度を廃止して、これに代わる新たな関係を確立し、国と地方公共団体が対等・協力の関係に立つことは、今後の地方自治にとってまことに意義深く、重要な変更をもたらすものである。地方自治の確立、地方公共団体の自主。自立の強化拡充は、これまでの地方自治の進展のために第一の課題であっただけに、機関委任事務制度の廃止は、地方公共団体に大きな意識変革をもたらすことになろう。

しかしながら、このことは、勧告の指摘にもあるとおり、地方公共団体にとっては今後「自己決定。自己責任」が強く求められることにつながっていく。権限委譲、国の関与の整備縮小、国庫補助負担金の整理合理化、地方税財源の充実など勧告でとりあげられた諸課題が実現していけばいくほど、地方公共団体の自己決定。自己責任の原則が重みを増すことになる。

分権型社会が実現するにつれて、地方公共団体が自主自立できる規模の団体として整備されていかなければならないことも当然となってこよう。

明治と昭和の大合併を経て、7万以上あった村落が、今や3,200余りの市町村となっているが、その規模は千差万別といってよく、300万人の人口を数える政令指定都市から人口200程度の村も存在するという格差

 

 

 

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