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女性フォーラムの分科会

 

くられ、現在、粉石鹸を販売できるようにまでなっている。

女性フォーラムの後に行ったのが、羽田澄子監督作品の「安心して老いるために」の映画上映であった。この映画は福祉を考える仲間とともに、生涯暮らせる町がどういう町であればよいのか、また、その町でどう生きるべきなのかという点を町民に問いかけ、わずかでもそれぞれの生活に役立つよう願いをこめて上映したのである。その他、平成4年から毎年、湯布院町商工会青年部の主催で、平成2年に完成した、磯崎新氏設計の由布院駅舎のホールでハーピストの小倉知香子さんの協力によリハープコンサートを催している。「駅コン」と称したこのコンサートでは、湯布院に来られた多くの観光客の方々に聴いていただいている。今年は少し趣向を変え、ハープニ重奏のコンサートを9月に企画中であり、現在、当日コンサートで飾る花を自分達で育てようと、種まき作業を友人達と楽しんでいるところである。

 

〈私達の課題〉

以上のような活動を通し、私自身この小さな町で地域活動を行うことが、いかに難しく、根気のいることであるかを痛切に感じると共に、「町づくり」とは何か、「暮らし良い町」とは何かを改めて考えさせられた。そして、観光地として地名度をあげた湯布院で、いかに住民が暮らしやすく、文化的な生活を営むことができるのかが、観光地の中で暮らす私達に課せられた大きな課題となっている。

30年前の湯布院は、ひなびた宿屋が数件あるだけの寂しい町であったはずである。そして、寂しいこの町にいかにして客を呼び寄せるかというところから始まった「町づくり」が、私達の世代になると、年々増え続ける観光客をどうするか、に変わっていったように思える。また、文化的な観光地づくりこそが、住民にとっても文化的な住環境をつくり出すのだと考えられていたにちがいないが、土。日・祝日におこる交通渋滞や、派手なファンシーショップに列をなす観光客の光景は、私にはとうてい文化的とは思えないのである。

リゾートブームや温泉ブームといった社会的な影響力によって小さな町が大きく変わっていく状況を、どのように受け止め、これ以上自然環境や景観を崩さぬよう、これまでとは違った町づくりを模索していくことが、私達世代にとって最も必要なことであり、その為にも私達が今やらなければならない

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