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自治だより 平成9年5月号

(奇数月発行)

(通巻No.119)

 

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市町村の自主的な合併

紀内 隆宏(全国知事会事務総長)

 

明治の大合併は、市制・町村制発足の時期に行われ、7万余の町村が1万5千余に減少し、昭和20年代末から行われた昭和の大合併により、1万弱あった市町村は、約3分の1に減少した。

その後の市町村合併の動きは緩やかだったものの、この問題についての論議は絶えることなく、特に最近に至って各方面から合併推進の必要性が広く主張されるようになった。

 

これらの主張の論拠のひとつは、国土の均衝ある発展には地域の振興整備が必要であり、そのためには地域の基礎的単位をなす市町村を、生活圏の拡大という実態にあわせて再編成することが効果的であるとするものである。

また、最近有力なのは、住民に身近かな福祉等の行政サービスの多くは市町村によって供給されることが望ましく、そのためには市町村の行財政基盤の充実が不可欠であるとするものであり、現在推進されつつある地方分権の論議とのかかわりが大きい。

さらに、地方行財政の運営の効率化、経費合理化の観点も強調され、これは現在行われている行財政改革の論議と大きな関連がある。

 

市町村合併の進め方については、その多くが「自主的」合併を前提としている。現行の合併特例法はもとより、地方六団体の市町村合併についての立場もこれを当然の前提としているし、現在進行中の地方制度調査会の審議も同様の方向をとるものと推察される。

その意味は、地域の実情はそれぞれに個性的であり、基礎的自治体である市町村の存立に係る事柄は、各市町村の住民、議会、首長等の自主的判断に委ねるべきであるとするところにある。住民の一体感、その団体

 

 

 

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