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6.まとめ

国内のジェットフォイル運航会社2社における運航と整備実績及びガスタービンエンジン整備会社2社の整備内容について調査すると共に、海外では、本邦の総実数に匹敵するジェットフォイルを擁する香港のFEH社における運航と整備実態、また、米国におけるガスタービンエンジンの普及状況とその整備について、更に、ジェットフォィル用ガスタービン製造会社の現状と設計についての考え方、整備に関する意見等、貴重なデータを調査することができた。

これらの調査結果より、現在ジェットフォイルに使用されているガスタービンエンジンは、陸舶用として多くの実績を有する優れたガスタービンであることが認識された。また、その整備実態についても、製造会社がオーソライズした直属のメイテサンスセンターとして機能している本邦の整備会社2社の在り方も充分信頼できるものと理解された。

一方、香港のFEH社にあっては、会社独自に工夫を重ね、有意義な整備体制と運航に対する有効的なオペレーティング見るに至り、その努力と機能的な整備が有効に働いているものととらえることができた。これはジェットフォイル用ガスタービンエンジンの整備の在り方に対する一つの方法として見ることができよう。

今回の調査研究結果は、「検査点検要領」(5.3.1)、約20年間の「TBO・HSI整備に於ける部品交換状況」(5.4)、過去13年以上にわたる「ジェットフォィル用ガスタービンエンジン事故調査一覧」(5.5)及び国内外「ジェットフォイル用ガスタービンエンジンの整備実態一覧表」(5.3)に集約されている。

これによると、適切な整備と保守管理がなされると、20年以上にわたって同じガスタービンが十分な信頼性をもって使用できることが実証されている。その信頼性を維持するため、HSI/TBO整備実態を国内外で比較すると、国内の検査及び整備の間隔が海外に比べて比較的短く、本邦の整備方式が厳しいようにも見える。

しかし、本邦の運航状況が海外のものと異なっており、また、国内客船社間でも運航形態が様々であるので、一概に海外と比較して早計に結論を出す訳にはいかない。

各船社毎に、運航実績とそれに適した検査及び整備体制を採用している本邦の現在の整備体制は妥当なものと判断される。今後更に整備実態のデータを収集し、ガスタービンエンジンの信頼性維持の実績を積むことが必要であり、本邦におけるHSI/TBO整備間隔の延長については将来の課題として更に検討していきたい。

(委員長 葉山真治)

 

 

 

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