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第2章 書簡による調査と結果

 

2-1. 予備調査

前年度同様、年度当初に先ず調査対象国の政府機関と船級協会あてに、船舶安全関係法令等に関する質問書を発送した。質問の内容は、国際船級協会連合のメンバーである船級協会を有する国、即ち韓国及び中国政府あては昨年度の米国USCGあてと、他の国についてはカナダ国あて、そして船級協会あてはABSあてと同様とした。(昨年度の報告書「海外における船用機器等の検査に関する調査研究報告書(アメリカ、カナダ、パナマ編)」P.10〜11、19〜20(和文)及び141〜145(英文)参照)

政府あて質問書の送付先は、やはり昨年度同様、先ず(財)東京エムオウユウ事務局の専務理事、岡田光豊氏から紹介されたPSC委員会の各国連絡者あてとした。同時に、インドネシア、シンガポール及びフィリピン国については、それぞれの国に駐在している運輸省の船舶関係技官の方々に宛て先としての適否を尋ねたところ、PSC担当と船舶検査担当部署が異なるか、或いは転勤等により、殆どの国は宛て先として適切でないことが分かり、宛て先を打ち直し、駐在の方々に直接届けて貰った。

韓国は、やはり平成9年7月1日に船舶検査担当課長の異動があり、運輸省海上技術安全局安全基準課の国際基準調整官、平原祐氏から紹介された新しい担当課長あてに質問書を再送付したところ、韓国・中国地区訪問調査から戻った後に回答を得た。

マレーシアからは終に回答なく、運輸省船舶関係技官も駐在していないことから、10月に入ってから訪問調査対象国をタイ国に振り替え、同国駐在の運輸技官に質問書を託した。宛て先を白紙のまま発送し、同国訪問時に同氏より回答を入手した。回答者名もその時に知ったもので、その意味では“予備調査”とは言えない。台湾については政府組織が不明であり、同国の船級協会にのみ質問書を発送した。

無線関係の質問は、前年度の米連邦通信委員会(FCC)あてとほぼ同様のものを、我が国で前年度実施した「アジア・太平洋電気通信共同体(APT)GMDSS研修」に参加したシンガポール、フィリピン及びマレーシアの研修生あてに発送した。(その他の調査対象国からの参加なし)質問事項は、“その1”は前記報告書P.15〜17、“その2”は前々年度の報告書のP.100と同様である。また、中国とマレーシア国からは、本年度の同研修に参加者があったことから、同研修の講師として関わっていた吉田委員が、来日中の研修生に質問書を手渡し、回答を得た。

船級協会の宛て先については、本委員会委員が保有していた名刺等に拠った。

以上の結果、中国及びマレーシア国を除き、年度当初に発送した質問書への回答は全て得た。中国については、共産国であり、同国の政府と船級協会とは実質的に一体の組織であることが予想されたことから、質問書は送付したものの、特に担当部署の追跡調査は行わなかった。これは結果的に当たっていた。質問書を中国船級協会(CCS)の副会長あてに送り、回答を得たが、同氏は中国交通部、船検局の副局長でもあり、従ってその回答は政府の回答でもあったと言える。

シンガポール国の無線関係質問書は、発送先から船舶検査部門に転送され、そちらから

 

 

 

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