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ま え が き

 

近年、自由通商の拡大のもと、安価で良質の製品を求めて世界の貿易量は増大しており、それに伴い人々の生活も日々豊かになってきたが、一方では安全性や環境問題への配慮が一層要求され、また、世界各国の国内基準に対しては貿易の不均衡の一因との観点から、所謂貿易摩擦としての問題も生じている。

船舶用機器製造事業者にとっては、これらの問題はもともと身近な関心事であり、今後海外企業との材料、部品の供給及び調達、さらにはOEM(相手先商標製造・販売)による生産形態等の増大も予想され、国内外の船舶検査関係法令や検査制度に関する理解が必要になって来ている。

当協会は、平成7年度から3ヵ年計画で「海外における船用機器等の検査に関する調査」を行ってきた。本報告書は、初年度の西欧5ヵ国、昨年度のアメリカ、カナダ、パナマ3ヵ国に続き、最終年度として韓国、中国及び東南アジア諸国の計7ヵ国の検査制度等について調査した結果をとりまとめたものである。

 

第1章 調査の目的と方法

 

1-1. 調査の目的

円高の定着、規制緩和等により、最近とみに外国の船用機器等の我が国への流入の機運が増加している。一方、社会的な要望により規制緩和の流れを受けて、我が国の船用機器等に係わる検査制度についての見直しも検討が進められている。今後の見直しによって検査制度及び運用の変更が行われた場合には、関係事業場において新しい検査制度への対応によっては当会員の事業の存続に大きな影響を与えかねない重要な問題となるので、事前にこれらに関する問題点等を調査研究し、今後の対応に備えておく必要がある。

このため、最近の諸外国における船用機器等の検査及び品質管理状況等を調査し、これらの製品に対する検査及び品質管理状況等を様々な角度から比較検討し、派生する問題点を摘出して、関係企業の将来の経営基盤の安定・強化を計るに必要な対応資料の提供を行うことを目的とする。

このような目的のもと、平成7年度の西欧諸国5ヵ国、昨年度のアメリカ、カナダ、パナマ3ヵ国に引き続き、今年度は韓国、中国及び東南アジア諸国7ヵ国の船用機器等の検査制度について調査した。

この間、我が国の経済停滞等により、円の対ドルレートは徐々に円安に振れ、また、昨年央から本年にかけて、韓国及び東南アジア諸国の経済危機、通貨不安が突如表面化するという予想外の急激な経済変動が生じたが、世界経済及び産業活動の相互依存は変わらず、船舶用機器の分野においても材料、部品の海外調達、供給、更にはOEMによる製造販売方式等が今後一層拡大することが予想され、本調査の意義は些かも変わるものではないと考えられる。

 

1-2. 調査の方法と実施経過

(1) 調査の方法

前年度同様、(社)日本船舶品質管理協会に設けた海外調査委員会にて、まず年間実施計画、質問事項、海外調査訪問先等を検討、策定し、回答と訪問調査方針の検討、訪問調査の実施、人手資料の整理、結果分析を行った。委員構成を表1-1.に、年間調査スケジュールを表1-2.とに示す。

 

(2) 調査の実施経過

前年度同様、基本的事項として次の?〜?について調査することとし、訪問先によっては当該組織に応じた質問事項を追加することとした。調査にあたっては、先ず書簡により質問書を送り、併せて訪問先の選定、アポイントメントの取得の努力をした。

? 船舶の安全のための構造・設備に関する規制法令

? 検査機関

 

 

 

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