7. 二次試作品の設計、試作
7.1 二次試作品の設計
(1) 救命いかだ
上記4.基本構造の検討結果をもとに、二次試作品を設計した。試作品の設計基本図を図1に示す。
(2) コンテナ
コンテナについては、FRP板の厚さを従来の3mmから5mmへと増加させると共に補強リブを従来の2本から3本にふやして全体の強度を増加させた。また、落下時の衝撃による上下コンテナのずれを押さえるため、かみ合わせリブの高さをやや高くした。シール紐は、昨年度と同様の径4mmナイロン紐を使用することとするが、1本掛けを2本掛けにして強度を増加させることとした。シール紐のかけ方は、膨脹時に常に決まった一方向から開くように、片側を3カ所、反対側を2カ所とした。
7.2 二次試作品の重心及び復原力計算
(1) 重量、重心計算
二次試作品の基本設計案をもとに各部品及び艤装品の重量、位置より重量及び重心を計算した。計算結果を表4に示す。いかだの本体重量は172.8kg、上下方向の重心は床上0.263m、横方向の重心は中心線よりボンベ側に0.571mであった。
(2) 喫水、浮心の計算
外部補強気室の排水量を算出すると0.1753m3であり、ほぼいかだ本体の重量と等しく、喫水は底面で水面とバランスすることになる。
また、いかだの横方向の重心位置ボンベ側0.571mに対し、補強気室の浮力中心はボンベ側0.36mであるので、浮遊時のいかだ横方向重心位置はボンベ側0.2mとなり、ほとんど水平に浮かぶと推定される。
(3) 復原性計算
計算は、救命いかだを180度反転し、天幕内にある程度の水が入っている状態での復正の可能性を判断するため、復原性計算を実施した。いかだ重量を175kg、上下の重心位置は1.72m(2m-0.263m)、前後左右の重心位置は中央にあるものとし、各部の変形はなく安定水のう内に水はないと仮定した。
天幕内部の海水の量は、100mmの高さで約200kg、200mmの高さで約510kg及び300mmの高さで約1010kgの場合について計算を行った。各計算結果を表5〜7に、また、それらをまとめたものを表8に示す。さらに表5〜7の結果による復原性曲線を図2〜4に示す。
図2〜4の復原性曲線図に復正限界線を記入した。これは、救命いかだの横方向重心が実際にはボンベ側に0.571mずれていることによる本来のGZ値を表すものであり、もし、GZカーブがこの線を越える場合は逆転状態で安定し、復正しないことを意味する。