6.4 実用品としての構造、その他
実用品救命いかだとして、製作のしやすさ、製作コスト、需要状況等を考慮した構造について検討した。
(1) 天幕の構造
天幕支柱の数を3本から2本に減らすことについて検討したが、昨年度の状況からみて、現在の構造以上に支柱全体の剛性を減らすことは望ましくないと考えられ、3本のままで検討することとした。また、昨年度観察された天幕布のたるみについては、二次試作品の作成時に寸法調整をして可能な限りたるみをなくすこととした。
(2) 大型いかだの構造
本調査研究は、25人用の救命いかだを目標として実施しているが、50人用等の大型いかだの需要も将来考えられるため、その場合の構造について検討した。
a. 縦横比の見直し
25人用の場合に縦横比を2前後として設計したが、このままの比率でスケールアップすると天幕の高さが必要以上に高くなる恐れがある。天幕の高さを適当な範囲に押さえるために縦横比を2より大きくして細長くする必要があると考える。
b. 剛性の再検討
自己復正性能を保つためには全体の剛性の確保が必要であるが、スケールアップに伴い外部補強気室の追加等の剛性の再検討が必要となる。
c. 軽量化
現在の50人用救命いかだは既に質量が約400kgあり、自己復正型にするための付加的要因のためさらに重くなる可能性が高い。いかだの取り扱い等を考慮すると現在の質量は限界に近いと思われるので、軽量化を考える必要がある。例えば、単位質量の軽いゴム布材料の使用、救命水の一部代替えとしての海水脱塩装置の積み付け等が考えられる。
(3) その他
今回の救命いかだは水面でMESのプラットフォーム脇で膨脹するタイプなのでフロートフリー機構も含め、作動索、引き寄せ索等の配置の検討が別途必要となる。
また、今後、救命いかだは一度に一台ずつ投下可能な構造が要求されるので、2段積み等の場合、架台の構造変更が必要になると考えられる。