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4. 昨年度の調査結果についての検討

4.1 自己復正性能

昨年度試作した一次試作品は基本的には自己復正性能を持つことが確認されたが、90度横転状態において特に天幕内に水を入れた場合に復正力の不足が認められた。この原因として以下の項目があげられる。

(1) 床のたるみにより艤装品固縛部が復正力を減少させる方向へずれる。

(2) 艤装品の回縛にあそびがあり、艤装品袋が復正力を減少させる方向へさらにずれる。

(3) 天幕側面に設けた観測窓(排水口を兼ねる)からの水の排水に時間がかかるため、90度横転状態で復正が停滞する。

(4) 逆転時及び横転時には、主気室及び天幕支柱気室の変形が観察されている。

 

艤装品袋の移動防止については、固定ベルトを気室間に渡す案を検討した。さらに必要ならばスオートを1本または2本設置けることで艤装品の移動は最小限になると考えられる。また、側面観測窓からの排水の遅れについては、その量がわずかなことから艤装品位置移動防止が実現できれば排水の遅れを無視しても十分復正すると考えられるため、現在の所検討不要とした。

逆転膨脹時に底に水がたまり復正しなかった問題については、試験方法がA.689改正案に明記されていないこともあり、試験方法を再検討する必要があると判断された。

即ち、前回の水面に試験品全体を広げる試験方法が実態に合ってないと判断されるため、収納状態にたたみ広げない状態(逆転膨脹の可能性が高い姿勢とする)で膨脹させるのが適当と考えられる。

その場合、前回の試験で観察された底面にたまった水や、いかだ内部が負圧となって復正を妨げる等の現象が発生する可能性は少ないと考えられるため、それらの問題点は基本構造の検討段階では特に考慮しないこととした。

 

4.2 コンテナの強化

昨年度の投下試験において、シール紐の破断及びコンテナFRPの破損がみられた。

その後の膨脹作業を考慮すると水面投下時のコンテナの破損は最小限でシール組の破断はないことが望ましいと考えられるため、以下の方針で設計を進めることとした。

(1) FRP材料の強化及び構造の再検討を行いコンテナの強度を増加させる。

(2) 上下コンテナ同士の回縛方法を強化する。

(3) 救命いかだの格納寸法に合わせた大きさとする。

 

 

 

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