日本財団 図書館


5. 船舶検査の合理化のための制度

前述の予備検査も時間的合理化の一手段であるが、他に従来から船用品の「型式承認制度」があり、昭和48年には「認定事業場制度」が発足し、船舶検査の合理化と強化が図られた。

(1) 型式承認制度

本制度の目的は、船舶又は船舶用機器あるいは法定船用品が関連法規や基準に適合していることを明らかにして、その使用者に利便を与えるためと、法5条の検査の合理化を図るためである。

運用法規は「船舶等型式承認規則」(昭和48年省令第50号)であり、規則の概要は次のとおりである。

(a) 型式承認及び検定

(イ) 船舶又は法第2条第1項各号に掲げる事項にかかわる物件(命令をもって定めるもの)につき運輸大臣の型式承認を受けた製造者が製造した船舶又は物件で、管海官庁(JG)、指定検定機関(HK)又は小型船舶検査機構(JCI)の検定を受け合格したものは、5条又は6条の検査を省略する。

型式承認とは: 量産物件の原型について設計、構造及び性能が技術基準に適合することを確認し、その型式について行う承認をいう。

検定とは: 型式承認をうけた物件の製品が承認をうけた型式どかりに製造されているかどうかを確認する検査をいう。

製造者とは: 船舶又は物件を設計し、その主要部を製造し、かつ、その組立てを行うものをいう。

(ロ) 型式承認を受けた船舶又は物件を製造する認定事業場が、型式に適合したことを確認したときは、検定に合格したものとみなす。

(b) 型式承認の基準

(イ) 船舶又は物件が、規定された技術基準(いかだでは船舶救命設備規則)に適合していること。

(ロ) 製造者が、当該型式に適合する船舶又は物件を引続き製造する技術的、経済的能力を有していること。

(C) 型式承認に関する手続き

(イ) 申請書の提出  運輸大臣あてに、製造仕様書、構造図面、使用説明書、製造実績等を添付し、提出する。

(ロ) 型式承認試験  申請物件が「船舶等型式承認のための試験及び性能基準」に適合していることの確認試験を受ける。(試験機関: 当会船舶艤装品研究所等)

(ハ) 型式承認書の交付

(ニ) 運輸大臣の告示 製造者、型式、型式承認番号等を官報に告示。

(d) 検定に関する手続き

(イ) 申請書の提出  地方運輸局長、HK又はJCIあてに提出。

(ロ) 検定の準備  検定方法は一般に抽出検査で行なわれる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION