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ことになっている。水資源への対応が、その他のエネルギー資源に劣らない重要性をもつに至ったことを示している。

用水の実績としては長期的には、表のように、1995年までの10年間に324.7百万m3から469.0百万m3へ44%の増加となっている。年率して3%を若干下回るものであるから当時のシンガポールの経済成長率との対比でみて、余裕ある状況とはいえないであろう。この総売上量のうち、1991年には29%に当たる117百万m3から95年の152百万m3(32%)へと産業使用量が増加している。シェアが増加していることは当然ながら、産業用需要が総需要を上回っていることを示している。この他のデータとしては、Domestic CustomerとNon-Domestic Customerの区別が95年で、それぞれ54%と46%とされている。料金の扱い方の区分であるが、産業用のシェアより大きいことは注目しなければならないとことであろう。新設の水資源管理局は、現存する19の水源、3つの河川を管理しているが、32.2百万ドルの投資によるショーホール河の改修、54百万ドルの投資による32.5kmのパイプライン建設などが計画されている。これらの水資源開発費は一般会計予算対比で2%となっており、必ずしも小さいものではない。

 

7) 中国の水事情

中国は近代化、工業化で若千の遅れをとったが、経済改革、開放経済への移行で、80年代後半から2ケタ成長路線に乗り、工業化テンポにも著しいものがある。13億の人口を抱えながらも一人当たりGDPの増加率は最近の10年間で2ケタを維持している。

水資源との関連で中国の状態をみると、降雨量は年間600mmでアセアン諸国平均の約4分の1と少なく、広大な大陸に大河川が存在するが、7大河川の流量が総量の55%を占めるなどの条件もあって、水資源の有効利用では遅れているのは否めないであろう。大陸という地勢的条件もあって、洪水などの発生も少なくない。歴史的にも治水は政治の重要政策課題でありつづけた。

現在の国家体制が設立された1949年以降、水利部は国家委員会によって設立され、1982年に水利部は資源部と併合されたが、88年に再び分離され、現在は水利部が国家計画委員会の管轄下にあって、全国の水資源の統一的な管理、多目的な開発、利用保

 

 

 

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