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は じ め に

 

世界人口は毎年1年間に8000万人以上増加を続けている。2年後の2000年には世界人口は60億を超え、2025年には80億を突破し、2050年には100億にも達しようとしている。今日我々人間という生物の存在についてのすべての問題は地球の扶養能力、恵みを対象として考えなければならない。人類が無事その豊かな生活を持続するためには、国益という障壁を越えて人類対地球という地球規模的視点に立たなければならない。

水はこのような地球規模的現象の課題として21世紀の人類の存続に挑戦するに至った。天の恵みとして無料で人間に与えられたまた水も今日では人間の生存を脅かすダイヤモンド的物質となってきた。医学的には一変食物も食べなくても水さえあれは40日以上も生命を維持することができるという。しかし、水も食物もなければ、人間の生命は存続しえない。

水は生活用水、農業用水、工業用水として利用される。これらの水利用は特に1950年代、つまり第2次大戦後において急激な増加が生じている。それはいうまでもなく、人口の激増と生活水準の上昇によるものである。いいかえれば水を絶対に必要とする人間自身の異常な増加と生活を豊かにした科学技術の飛躍的発展による生活の質の向上である。

世界では今日80カ国で水不足が生じており、また人口では世界人口の約40%が水不足に悩んでいる。この傾向は21世紀にはさらに一層深刻化して、生命扶養システム(life-Support System)の基幹部門として重要な課題となるであろう。

世界で2カ国以上にわたって流れている河川が200以上あるといわれている。そこでは水の争奪が国際間で重要な課題となっている。印度のガンジスガ川は下流で農業大国バングラデシュに流入しており、長年紛争の種となっていた。最近に至りようやく両国間で水利用についての取極めが行われた。国内的にも同一河川に沿っていくたの都市、農村が共存しており、水利用についての利害が矛盾することも少なくない。

地球全体からみると、水利用の3大部門があり、その間の水の需給調節という重大

 

 

 

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