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第7章 結言

 

バレンツ海におけるエネルギー資源開発に代表される北極海航路西半分の活発な活動に比較して、殆ど見るべきものが無かった航路東半分についても、一段と進展した日本・ロシア間の経済交流を背景に、サハリンにおける石油・天然ガス開発を始めとして、オホーツク海における漁船操業海域の拡大など、確かな経済活動の胎動があり、北極海航路について新たな認識が醸成されつつある。いずれの商業航路においても、最終端港間を単純に結ぶ航路だけでは、航路の健全な発達も維持も成り立たない。自然条件の殊更厳しい航路中央部の各海域に向けて、西端のバレンツ海域、東端のオホーツク海域から開発の手が徐々に指し伸ばされることは、北極海航路の発展にとって望ましいシナリオが書かれつつあると言える。

本調査研究事業は、ノルウェーのフリチョフ・ナンセン研究所を中心とするINSR OP Phase ?研究成果の統合事業、及びシップ・アンド・オーシャン財団指導による、北極海航路の氷況等の自然条件や運航条件を考慮した航行シミュレーションから構成され、いずれもが次年度に亙る2ケ年計画となっていることから、第1年度に当たる本年度においては、結論、成果について言及すべきものは必ずしも多くはない。

 

本年度の主たる事業成果は下記の通りである。

(1)航行シミュレーション

シップ・アンド・オーシャン財団主管国際事業として、想定航行船舶を設定し、航路を定め、航路上の年間氷況を観測資料より推定し、運航条件を設定して航行シミュレーションを実施することにより、北極海航路の商業航路としての評価を行うものである。この航行シミュレーションは、全体調整を含め9つの作業課題 Work Package(7P)で構成されている。

各WPは相互に関係があり、それぞれの作業が順調に捗る必要があることから、相互調整並びに作業管理のため、協議機構として本委員会幹事会を、また各WP毎に幹事会メンバー各1名を配して、円滑なる事業の進捗を図った。その結果、略計画通りの作業進捗を見ることができたが、この間の各WP調整担当者の並々ならぬ努力を多としたい。

現在、航路、航路上の氷況の設定、想定航行船舶の船型設計が終了し、フィンランドにおいて実施した氷中模型試験結果の解析結果を待つ段階にある。

(2)INSR OP Phase ? 事業成果の統合

Phase ?事業において区分した4つのサブ・プログラム、(イ)北極海の自然条件と氷海航行技術、(ロ)北極海航路の啓開が自然・生物及び社会環境に及ぼす影響、(ハ)北極海航路の経済性評価、(ニ)北極航路啓開に関わる政治的・法制的背景、のそれぞれについて、成果の集約を行い、その結果をうけてサブ・プログラム全体の統合を行うものである。本年度は、各サブ・プログラム成果の集約に力点を置いて事業を実施し、それぞれについて、記述すべき事項、内容等についての詰めを行い、担当者へのガイダンスを行った。

環境影響評価、地理的情報システムGIS等、サブ・プログラム成果の統合において、なお補足すべき課題については、別途プロジェクトを立てて実施し、略計画通りの進捗状況をみた。

 

 

 

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