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行する距離に相当する領域である。この3日間という期間は、砕氷船支援を要請してから到着するまでに掛かる日数としても、適当と思われる。計算には、インターネットを通して、アメリカColorado大学の NSIDC DAAC から入手したDMSP衛星のSSM/Iセンサーで観測した海氷データと気象協会モデルによる海象条件を用いた。

計算格子の大きさは、SSM/I海氷データの空間分解度に合わせ25kmとし、 HDF形式の海氷データをテキストファイルへの変換のためのプログラムも作成した。海氷及び海水移動の外力となる海上風データは、気象協会モデルによる予測値を用いた。このデータの格子の大きさは40kmであるため氷況模擬予測実験では、計算格子の大きさに合わせデータの再構築を行った。また、気象協会モデルの海象予測が8日間のものであることから8日間を氷況の予測期間とした。

氷況予測は、 SUN Ultra 1 170MHz のワークステーションとDEC alpha 433MHzのWindows NT PCを用い、検証、評価された。システムの実用性に大きく関わる予測に必要とする計算時間は、8日間の計算で、 SUN Ultra 1 170MHz のワークステーションを用いた場合は約100分、DEC alpha 433MHzのWindows NT PC を利用する場合では約20分であり、予測システムとしで十分活用可能なものと評価できる。また、今回開発した海氷移動・分布の数値予測プログラムにより得られた氷況予測の結果は、 SSM/I海氷データと比較され良い一致が得られた。図3に氷況の数値予測結果と観測結果を示す。

 

5.5 可視化手法の検討

 

地上から受信した海氷及び気象情報と数値予測から得られた氷況情報を船内で簡便に利用可能な可視化手法に関する検討を行った。データの可視化には、市販の様々なソフトもあるが、使用する計算機の種類に制限されない、ライブラリ(Toolkit)とライブラリを利用したサンプルシェル等の一連のプロダクトであるTcl/Tkに注目している。 Tcl/Tkの利点は、アプリケーションに高度なマクロ機能を簡単に付けられること、またそれが早く、容易に出来ることにある。すなわち、自分が必要とする機能をアプリケーションで与えることが可能とのことである。 Tcl/Tkを利用することで、 氷の種類、密接度、氷厚、移動方向、内部応力、風と海流の強さと方向などなど多くの氷域の航行に関連する情報を、1つのアプリケーションを用い、利用者は簡単なマウスの操作で、モニタに描かせることが出来る。また、 Tcl/Tkは Unix、Windows、Macintoshなど異なる機種にて、同じアプリケーションを同じ環境で利用することが出来る利点もあり、利用者が使い慣れた機種で本システムを利用することを可能にする。

 

5.6 まとめ

 

この研究では、北極海航路の実船航海の際船内に搭載し、船上で取得した氷況データと気象情報を基に数日程度の氷況予測を行えるような、コンパクトな航行支援システムの構築を目

 

 

 

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