日本財団 図書館


(6)GPS航法装置用空中線

GPS空中線はメーカによって形状は異なるが、ほとんどが小型軽量のドーム型である。ブラインドを避けるためにマストの最上部に設置されている。

125トンクラスの漁船では、着氷の被害は報告されていない。しかし、小型漁船では相対的に設置高さが低くなるため、着氷の可能性があることと、日本海側、太平洋側ともに厳寒期に操業する隻数がかなりの量になることを考慮するとさらなる調査が必要である。

 

(7)衛星系通信機器用ドーム型空中線

インマルサットA,Bについては、279トンクラス以上のトロール船はガントリーマスト上に装備されている。この位置では、ある程度着氷するがハンマリングすることはほとんどない。ただし、着氷防止のためにシートカバーで覆っているケースが多い。これは、現地の業者が製作しているもので、厚さ0.5mmの塩ビコーティングポリエステルシートの素材が用いられ、一般的な防水シートとしても販売されている。このシートカバーは周年装着しているが、特に通信効率が低下することはないようである。

インマルサットMおよびCについては、今回の国内船調査では該当船はなかったので実態は不明である。

なお、NTT.Nスター衛星船舶電話は、北方四島周辺でも通信可能になったので、釧路、根室地区の現地調査でも、19トンクラスのタラ漁船、160トンクラスの沖合底びき網漁船、180トンクラスのタラ漁船を始め、279トンクラスの北転船等ではインマルサット電話と併設されるなど設置が進んでいる。インマルサットシステムに比べても小型軽量なので、160トンクラス以上の船舶では、マストの高所に設置されているが、調査に訪船した19トン漁船では操舵室上の架台(約1m)に設置されていた。この船においても、空中線にシートカバーを用いており、着氷の場合も容易に氷を落とすことができるとのことであった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION