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国内においても、各研究者は船体着氷の主要因は波しぶきであると指摘している。

小野2)は、着氷が空気中を移動している水が物体の表面に凍結する現象であると定義している。陸上での着氷が過冷却した霧粒や雨粒を水の主因子としているのに対し、船体着氷は海水のしぶきが水の主因子となる。船にかかる海水のしぶきは、白波が砕けて発生する波しぶきと船体と海面とが衝突して生じるしぶきとに分類される。波しぶきが時間的にも空間的にも比較的一様であるのに対して、船体と海面で作られるしぶきは、波浪と船との出会いの周期に関係して、時間的にも空間的にも極めてむらが大きいとしている。

しかも、このような海水のしぶきは、一回にかかる水の量がかなり多いから、かかったしぶきの何割が船体の表面にとどまるかが問題になる。

すなわち、船体にかかった海水のしぶきは、その一部が船体表面に保持されて着氷となり、残りは海に流れ落ちてしまう。

着氷の成長を支配している要因には、しぶきの量に関与するものと、凍結の潜熱放出に関与するものがある。しぶき量を決める要因は風や海面状態などの自然条件と、船の形や大きさ、風や波に対する操船などの人為的条件が絡まり合い、波浪が規則的でないために、かなり複雑である。これに対して潜熱放出に関与する要因は、気温と相対風向・相対速度とがその主なものであり、比較的簡単に取り扱うことができるとしている。

 

 

 

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