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参考資料5 国内外の環境問題への取り組み

 

(1) 概要

 

我が国では、1995年に「環境基本法」が制定された。この法律は、人類の生存のために、何をするにしても、環境を考慮しながら行うべきであるという国民的合意ができたという点で重要である。

海洋は一国だけでの対応だけでは不十分で、各国の合意のもとに共同で海洋環境保全に対処する必要がある。このような認識から、次のような国際条約と国内法規が設けられている。

まず、国際的な海の憲法というべき「国連海洋法」が1982年に採択され、日本も1996年に批准した。このなかで、海洋汚染については、?陸上源からの汚染(下水、放射性物質、油類、懸濁物質、海洋生物などの生息場所の物理的改変および破壊、残留性有機汚染物質、重金属、栄養塩、散乱ゴミなど、の9種類)、?海底における活動からの汚染、?深海底における活動からの汚染、?海洋投棄による汚染、があげられている。

国連海洋法に先だって、ロンドン・ダンピング条約(1972年採択)によって陸起源の放射性廃棄物、産業廃棄物の海洋投棄禁止がうたわれている。また、船舶からの汚染を禁じた法律として、マールポール条約が1973年に採択され、日本はこれを1980年に批准している。さらに、大気経由で海洋が汚染されていることも懸念され、これについて海域ごとに、パリ条約(北東大西洋)などの条約が締結されている。また、パリ条約、オスロ条約あたりから、直接的な海洋汚染だけでなく、海洋生態系の保護が議論されるようになった。また、希少生物の保護をうたったワシントン条約はウミガメなどの海洋生物の保護にかかわっている。

このような国際法に関連して、日本の国内法も定められている。マールポール条約に関連して、船舶からの海洋汚染および海上災害の防止を定めた海洋汚染防止法が設けられている。また、陸上からの汚染に関して廃棄物処理法が設けられ、公共水域の汚染防止について水質汚濁防止法が定められている。さらに、赤潮などの防止に関して、瀬戸内海環境保全特別措置法が1973年に定められている(図7-6)。

現在、海岸から12海里(1海里は1852メートル)で領海と公海に分かれるが、さらに国連海洋法では、200海里以内の海域を排他的経済水域(EEZ)として定義している。この法律では、EEZ内の環境については、沿岸国が責任をもつことと、他国がその海域の調査をする場合には、沿岸国の了解をうることが必要とされている。このような国際的に決められた法律や条約を、それぞれの国で発効させることを批准手続きが各国で進められている。

国連環境計画(UNEP)では、これまでに、ヨーロッパ地域海などいくつかのブロックを順次制定して「地域海計画」と呼ばれる行動計画をたててきた。12番目として、北西太平洋地域海計画(NOWPAP)が制定され、日本、中国、韓国、北朝鮮、ロシアによって囲まれる海域の海洋施策思索の差異を調査調整して、5カ国の協力体制を確立することなどが課題になっている。

 

 

 

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