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6 まとめと提言

 

本調査研究においては、海洋環境に関する問題をできうる限り網羅的に整理し、強力に研究の推進および技術開発の進行を図っていく必要がある課題を「重要課題」として抽出した。その上で、重要課題を、●現時点では概念の整理や研究手法の確立が不十分と考えられる長期的な課題と、●早急に研究開発の振興が望まれる課題に分類し、後者を環境問題の現象要因により6つのグループに整理した(表4-5)。

さらに、研究開発の振興が望まれる課題について、研究開発動向を調査し、対策手法の一例を抽出、列挙した(表5-9)。

しかしながら、海洋環境問題は幅広い内容に多岐な要素が複雑に絡み合っており、重要課題への取り組みも一つの切り口だけでは全体像を捉えることができないのが実態である。海洋環境の研究や技術開発に携わる研究者や政策立案者などがこうした基本的視点を念頭において取り組みを実施するだけでなく、求められる海洋環境研究・海洋環境技術開発等を社会的に支援する基盤を整備する必要がある。

このため、本調査研究を総括し、今後の海洋環境対策の方向性を提言する。

 

(1) 研究的モニタリングの重要性

環境問題はモニタリングに始まってモニタリングを行い続けることに行き着くと言っても過言ではない。モニタリングには「研究的モニタリング」と「行政モニタリング」の2種類があり、環境研究と環境対策の根幹をなすものである(図6-1)。汚染や生物・生態系への影響を把握・解明し、影響を評価・予測して対策を講ずるためには様々な情報が必要とされる。環境問題の複雑性、不確実性に対応するための研究は、環境の状況を適切に把握することに始まる。そのためには、総合的かつ戦略的に長期間持続して研究的モニタリングを行うことが重要である。

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