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上記の検討結果に基づいて種々の触媒調製を行い、その評価を行った。

試作品として、銅およびバリウムイオン交換ZSM-5ゼオライト、バリウム担持ゼオライトを調製し、NOxの吸着試験を行った結果、これらの中では銅イオン交換ゼオライトが最も高いNOxの吸着量を示した。また、実船に適用するためには水等の吸着阻害物質の影響が大きいことを明らかにした。

 

・触媒活性評価装置の設計

前項の評価結果に基づいて、装置の使用を以下のように決定した。

模擬排ガスとして100〜10,000ppmのNOxを含むガスを流すことが可能な常圧固定床流通式反応装置とする。そのために反応ガスは、それぞれ流量をサーマルマスフローコントローラで制御する。本反応では、供給ガス中のそれぞれの反応基質濃度がいずれも極めて低い。そこでより正確な流量制御を行うため、ガスの供給にはO2以外、Heによる希釈ボンベを使用する。触媒を反応管内にシリカウールを用いて固定し、反応時に触媒層内の温度差が±1℃以内になるように装着し、反応温度の制御は触媒層の中心に挿入した熱電対により行う。

 

4.2 今後の課題

 

これまでの文献事例調査結果からは、ゼオライトあるいは複合酸化物のNOx吸着能が高いことが報告されている。理想的な条件下ではこれらの吸着能は充分実用に耐えうる範囲であるが、船舶に搭載して実排ガスの処理をすることを考慮すると、共存ガスの影響について検討を行うことが不可欠である。

共存ガス、特に水蒸気による吸着阻害は、NOxの吸着、および選択還元除去に共通して本質的な開発課題である。したがって、 本研究開発の初期2年間ではゼオライトや塩基性物質を利用した、高効率なNOx吸着サイトのモデル化、およびこれらの活性点に対するH2Oによる吸着阻害について検討を行い、今後の高効率な触媒システムの開発の指針とする。

 

 

 

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