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(c)舶用への転用上の問題点と開発課題

SCR法の船舶の転用について考えてみる。例えば10MW陸上の発電用ディーゼルのSCR法によるものでは、脱硝装置のみをとり上げても、エンジンに比べ面積で約1/2、高さで2倍以上ある。この容積は陸上では特に問題にはなっていないが、船内という限られたスペースを考える場合かなり大きいと思われる。実船への搭載例が既に2隻ほどあることから、舶用として不可能ということではないが、小型化が重要な課題である。

アンモニアの船内取扱いには十分注意する必要がある。また、燃料中にSが含まれている場合、前述の未反応アンモニアが低温で硫安あるいは酸性硫安を生成し、過給器や排気ニコノマイザの腐食あるいは通気抵抗の増大をもたらす。こうした点から考えて、アンモニア系以外の代替還元剤や新規脱硝技術の開発が必要である。

SCR法の反応温度から排ガス温度がおおよそ300〜400℃の範囲にあることが望ましいが、最近のディーゼル機関では過給器出口の排ガス温度が低くなる傾向にあるため、特に2サイクル機関ではエンジンと過給器の間に脱硝装置を設ける必要があり、排気系統の煩雑化につながる。いずれにしろ、反応温度の確保あるいはアンモニウム塩の析出防止のために排ガスの温度コントロールが必要であり、場合によっては過給器下流での排ガス再加熱等による温度制御を考える必要がある。

 

 

 

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