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また、VOCsは、主としてタンカーの荷役中に排出されるものである。この低減目標に向かって世界各国は努力しているところである。

1990年に行われた第29回MEPCにノルウェーから提出された“Exhaust Gas Emission from International Marine Transport”には、各国の国内海上輸送を含まない国際海上輸送のみに起因するSOx、NOxの排出量が、地球全体の排出量の、それぞれ4%、7%を占めるという結果が示されている。

MEPCは、船舶による汚染防止のための国際条約“MARPOL73/78”の中に新付属書として取り入れることに合意、BCH(バルクケミカル小委員会)で具体案を作成し、1995年9月に開催された第37回MEPCから審議が行われ、1997年9月15日から26日にかけてロンドンのIMO本部で開催された第41回MEPCにおいて、「船舶からの大気汚染防止のための規則」と題された付属書を新たに追加した新議定書が採択された。この条約では、これまで油、有害液体物質、有害物質、船舶からの汚水および廃棄物の5項目に関して海洋汚染防止のための規定を設けていたのに加えて、船舶からの大気汚染物質の排出制御についても初めて国際的な規定が設けられることとなった。会議には60カ国が参加し、船舶からの大気汚染防止のための新条約を論議、船舶エンジンの窒素酸化物・硫黄酸化物などの規制が規制が盛り込まれた。概要は以下に示す。NOx、SOxに関しては、当初予定されていたものよりも、緩やかな規制となっている。

 

[窒素酸化物(NOx)の規制]

船舶のエンジンからのNOx排出規制値(回転数に応じた値で、例えば2000回転/分以上のエンジンの場合、9.8g/kwh)が決定されると共に、NOxの排出基準への適合性を確認するためのエンジンの認証方法等を決定するためのNOx技術コードが採択された。

[硫黄酸化物(SOx)の規制]

(1)燃料油に含まれる硫黄分の世界的な規制値として、5%かそれ以下かが争点であったが、結局4.5%で決着した。

(2)指定された海域において燃料油に含まれる硫黄分の規制値を1.5%以下とする、いわゆるSOx放出規制海域としてバルト海が指定された。なお、

 

 

 

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