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第1章 「3次元曲がり部ブロック大組立システムの研究」アンケート結果

 

造船各社に於ける工場の諸条件、状況、保有設備、3次元曲がりブロック大組立の方法及び問題点等についてアンケート調査書を作成し、造船大手7社へ配布、回収を行い回答を取りまとめた。

 

1. 建造人員及び生産状況について

 

近年の建造船種を見るとバルクキャリアが主流で約半分をしめ、ついでオイルタンカー、コンテナ船の順になっている。この中で建造人員の各社平均を見ると1,300人/社で協力会社依存度は43%と高く社外化も工程全域に渡っている。これら建造人員一人当りの生産量を月間加工重量で見ると平均9.1Ton/月/人であり又、工程別に配員比率を見ると船殻工程が55%と最も多く、内35%が大組立工程である。この中で大組立曲がり部は53%で大組立平行部より多い現状である。

 

2. 大組立の現状

 

大組立平行部は組立部材が直線で直交組合せのためロンジ先付溶接工法を主力として、板継ぎ〜立体組立に至る配材・取付け、溶接の自動化が進み一連の自動ライン化が完成している。一方、大組立曲がり部は組立部材が曲線で傾斜組合せのためバラ配材組立工法になり、配材・取付け、溶接の自動化は一部に簡易自動溶接機適用があるものの旧態依然、手作業主体である。又、平行部と曲がり部の作業量(溶接長)比率がオイルタンカーで70:30、バルクキャリアで50:50、であるのに対して作業人員は後者の方が多い。そのため能率は、平行部が4.9m/MHに対して曲がり部は2.6m/MHと極端に悪い。これは自動化が進んでいないのと、溶接長当りの作業密度が高いためと考えられる。

 

3. 曲がりブロック大組立の現状と将来

 

(1) 曲がり外板の板継ぎ溶接

溶接方法は各社ともCO2溶接とサブマージ溶接による片面溶接法が主流である。その中でもC02溶接は治具仮付法から面内仮付法に移行しつつある。これらが適用されている継ぎ手の状況を見ると両者とも適用最大傾斜角度はシーム方向で17度、バット方向で15度である。一方開先ギャップは治具仮付法で2〜10mm、面内仮付法では0〜5mmの範囲でバラツキがある。現状の自動溶接に対する各社の問題点として「手直しが多く、機械のセットにも手間を要する」がある。これは他に傾斜、開先精度に追従できハンドリングに労力を要しない高能率自動溶接機が無い事が原因である。各社の理想の溶接法は「レール無しの自動開先倣いで傾斜角も最大30度迄適用出来、面内仮付溶接の影響がないもの」である。

 

 

 

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