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3.6.5 マダイ養殖実証実験のための設備の概要設計

(1)前提条件

ハマチと同様の循環式陸上養殖法でマダイ稚魚を生育し、出荷サイズの成魚まで育て、マダイの生理・生態に関する理論値と実態とを比較対照する。

?対象魚種

体重5g程度のマダイ稚魚を種苗生産業者より購入し、1kgまでの養成を行い販売する。

?生産計画

14ヶ月間の飼育期間で5gの稚魚を1kgに、10,000尾生産(出荷重量10トン)する。餌はドライペレットを使用する。

?生物的要求

大きさ:1kg(出荷時)

飼育尾数:10,000尾、10トン(出荷重量)

飼育密度:最大時100kg/m3、10%

飼育水温:22〜24℃を維持する

平均成長率(SGR):1.26%/魚体重/日と想定(別表理論値に基づく)

酸素消費量:体重1kgで約5g/尾/日、10,000尾では50kg/日(別表理論値に基づく)

塩分:人工海水使用、塩分29.8%〜36.3%を維持する。臭素はあらかじめ除去する。

溶存酸素量:平均7mg/リットルを維持する

窒素負荷量:体重5kgで0.5g-N/尾/日、10,000尾では5000g-N/日

?各種設備と能力

イ)飼育水槽:養殖水槽として、FRP製の八角形水槽を使用する。残餌と糞を数分以内に回収する装置を設置し、その90%以上をこの段階で除去する。

使用数量 容量25トン型 4基=100m3

10トン型 4基= 40m3

合計容量140m3の水槽を魚の成長に合わせて使い分ける。なお、マダイはハマチより成長が遅いので、飼育容積も多く必要とする。

ロ)各種機器類:同じ10トンを生産する場合、マダイの窒素排泄量はハマチよりもやや高いがハマチの数値は余裕をみて計算してあるので、各種設備機器類の能力はハマチ用に合わせておけば問題がない。

(2)マダイ循環式陸上養殖施設の概算費用例

イ)設備費概算

養殖建屋 ハマチの約1.5倍とする。450m>sup>2@8万円/m2 3,600万円

水槽 25tタイプ4基、10tタイプ4基(ハマチの約1.5倍の容量) 750万円

各種設備機器類はハマチと同様とする 7,100万円

以上設備費計 11,450万円

ロ)人件費・維持費

人件費2人×600万/年×14ヶ月 1,680万円

種苗代 @100/尾、生残率90%として11,000尾 110万円

餌料代 @270kg、増肉係数1.7として 460万円

電力代 10kw/h×24h×420日×@24/kw 240万円

酸素補給費 50kg/日×420日×@40/kg 80万円

 

 

 

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