日本財団 図書館


3.6.4 ハマチ養殖実証実験のための設備の概念設計

これまでの知見をもとに生産量10トン程度の小規模な研究用施設を建設し、実証実験を始める。目的はハマチの生態に関する理論値と実態とを比較対照することであり、さらに各種機器類の数値的な能力を実測することである。

(1)前提条件

養殖水槽及び用水循環システムを建物内に設置し、人工海水を製造してシステム内に必要量を満たす。用水はシステム内を循環させて汚濁負荷の除去、滅菌あるいは酸素供給をするが、排水はほとんど行わない。

養殖魚はモジャコを購入し、出荷サイズの成魚になるまでとする。

?対象魚種

ハマチを対象とし、体重10g程度の餌付けが終了した種苗を種苗生産業者より購入し、5kgまでの養成を行い販売する。

?生産計画

18ヶ月間の飼育期間で10g種苗を5kgに、2,000尾生産(出荷重量10トン)する。餌はドライペレットを使用する。

?生物的要求

大きさ:5kg(出荷時の大きさ)

飼育尾数:2,000尾(出荷量)、10トン(出荷重量)

飼育密度:最大時70kg/m3、7%

飼育水温:22〜24℃を維持する

平均成長率(SGR):1.15%/魚体重/日

酸素消費量:体重5kgで21g/尾/日、2,000尾では42kg/日(別表理論値に基づく)

塩分:人工海水使用、塩分29.8%〜36.3%を維持する。臭素はあらかじめ除去する。

溶存酸素量:平均7?/リットル、(最低6?/リットル)を維持する

窒素負荷量:体重5kgで2.2g-N/尾/日、2,000尾では4,400g-N/日

?各種設備と能力

イ)飼育水槽

養殖水槽として、FRP製の八角形水槽を使用

残餌と糞を数分以内に除去する回収装置を設置し、その90%以上をこの段階で除去する。

使用数量 容量 50トン型 1基=50m3

25トン型 1基=25m3

10トン型 1基=10m3

合計容量85m3の水槽を魚の成長に合わせて使い分ける。

ロ)マイクロスクリーン・フィルター

ベルトフィルターにより、40ミクロン以上のSS(Suspended Solids)を除去する。

SS総量の代表的な流出量は5〜15mg/リットル。

ハ)フォームフラクショネイター(泡沫処理器)

40ミクロン以下のSSその他の有害物質を除去する。

ニ)トリックリングフィルター(硝化槽)

アンモニア態窒素の濃度を1mg/リットル以内に抑えることを目的として、バイオによる硝化活動を促進し、アンモニア態から硝酸態窒素に変化せしめる。

濾材としてプラスティック濾材(サランロック濾材)を使用する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION