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3.6.3 システムの能力要求

対象魚種の日間給餌率と酸素消費量がわかれば、有機窒素等の汚濁負荷量を推論することが可能であることは前述した。そこで、次の段階として、これらの係数を基にどれだけの能力の装置が必要となるのかを整理しておく。

イ)酸素供給量

純酸素を供給するので、酸素消費量と同量の純酸素を補給すれば良い。例えば、体重1kgのハマチの場合、水温24℃では1尾1日当たり7.2gの酸素を消費するので、その分を補給すれば元の状態を保つことができる。

ロ)硝化能力

Losordo理論によるアンモニア態窒素量の算出方法を再掲する。

PTAN=(FA×PC×0.102)÷t

PTAN:Production of Total Ammonia nitrogen(アンモニア態窒素総排泄量)

FA:Feed Added(給餌量)

PC:Protein Content of feed(餌中の蛋白質含有率)

t:単位時間

TANが水に溶けるとNH3-NとNH4+-Nに分かれる。NH3-NとNH4+-Nの割合は水のPHや温度によって変化が大きくTANの限界値も変化してしまう。魚にとってNH3-Nだけが毒性があるので、NH3-Nだけを指標として限界値を0.03mg/?とする。

 

アンモニア態窒素(TAN)の硝化に対する考え方

?RBC(回転円盤)によってまず全体の35%を除去する。

濾材はサランロックを使用し、必要量は400m2/水m3

硝化能力は 0.35g-N/m2/日

濾材容器は濾材量の1.5倍程度の容量を要す

?FBF(流動床濾過)によって残りの65%を除去する。

濾材は砂を使用し、必要量は10,000m2/水m3

硝化能力は0.25g-N/m2/日

ハ)脱窒能力

アンモニア態窒素が硝化されてNO2--NまたはNO3--N等の硝酸態窒素になったとしても、窒素量は同じであるので、脱窒の対象窒素量はTAN‐N量をそのまま使用すれば良い。

硝酸態窒素はほとんどの魚種に対して100mg/リットルの濃度までは影響がない上に、高濃度までの処理は効率が良いので、脱窒能力は硝化能力に対して5〜10%程度の規模で考えておけば良い。

ニ)殺菌能力

紫外線殺菌装置から254nmの紫外線を40,000mW/cm2/秒 照射する。さらにオゾン発生装置も使用する。オゾンは給餌量1kgに対して0.2〜0.25gの使用を基準とする。いずれも既に市販されているので、システムの容量に合わせた能力の機器を用意する。

 

 

 

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