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3.4 養殖魚の流通と市場性調査

3.4.1 水産物の流通18)、19)、20)、21)

水産物の流通は、魚種の産地や形態等によって多岐にわたっているが、養殖魚の流通においては、産地の出荷業者と消費地の卸売市場が大きな役割を果たしている。これは、養殖魚のほとんどが活魚あるいは鮮魚として流通しているため、その消流にはなによりも迅速性が重んじられるためである。農林水産省統計情報部がまとめた『水産物流通統計年報』による、平成7年度全国主要産地33漁港における仕向先別調査では、生鮮まぐろの97%、生鮮まあじの71%、生鮮さばの70%、生鮮さんまの78%、生鮮ぶりの69%、生鮮かれい類の80%が消費地の卸売市場に出荷されている。

産地の出荷業者については、近年、香川県漁連や(株)ヨンキュウ等の台頭が象徴的であるが、彼らは大都市近郊の内湾(神奈川県三崎港等)にストック用の生け簀を設置し、四国近辺の養殖業者から集荷した養殖魚を、生きたまま船で搬入する。そこから近辺の市場や場外業者向けに注文に応じて出荷する方式であるため、当然産地から直送された魚よりは、鮮度の良い品質の物を提供することができる。これら出荷業者は、さらに産地や消費地での加工にも積極的で、量販店等との取り組みを強化しており、今後、場外流通増大の牽引者となると予想される。

生産者にとって、生産物をより有利な条件で販売したいと思うのは当然であるが、地理的な条件で物流費がかかりすぎるとか、陸続きでないため天候が悪いと顧客の要望通りには出荷出来ないとかの問題に、必ずぶつかる。五島列島等は、産地としては好条件であるが、物流の面ではハンディを背負っているといえる。長崎県のハマチ生産者は、成魚を消費地に直接出荷するよりも、香川県漁連等の販売力のあるところに、出荷サイズ手前の段階で販売してしまうケースが多いという。香川県漁連等は、それらよそ者のハマチを県内の生け簀で短期間養成し、自県産品として出荷するわけである。長崎県では、そのような形で県外に出荷されるハマチが、年間50万尾とも100万尾ともいわれている。

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