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は じ め に

 

本報告書は競艇公益資金による日本財団の平成9年度補助事業として実施した「沿岸海域における海洋汚染防止に関する調査研究」事業の成果をとりまとめたものである。

我が国は、湾や内海など養殖に適した海域が多いが、沿岸海域の水深が浅く、かつ海水の流れが少なく新陳代謝が乏しいため、養殖魚の残餌や糞が堆積しやすく、富栄養化を招き、プランクトンの増殖による赤潮などの海洋汚染を引き起こし、養殖魚のへい死を招くなど社会的な問題になっている。また、養殖魚の病気を防ぐために餌に混入する抗生物質が海中に溶出したりして微生物などによる海の浄化作用を損なう恐れがある。このような海洋汚染の原因を解消し、海の浄化を図ることは、海洋環境を保全する上で重要な課題である。

本事業では、海洋環境保全を目的として我が国の沿岸海域の海洋汚染の状況調査、漁業の現状および「循環式陸上養殖技術」等について調査を行った。

「循環式陸上養殖技術」は、数年前から欧米で開発され実用化研究が進んでいるが、この方式は養殖用水を完全に浄化・循環して使用するため、海を汚さずに魚を養殖することが出来る、環境に優しい養殖技術である。

本報告書が、我が国の沿岸海域の海洋汚染防止および陸上養殖技術の推進に有効に活用されれば幸いである。

本事業は、小金澤昭光委員長をはじめ各委員の熱心なご審議による他、多くの方々のご協力により完遂したものであり、これらの方々に対して心から感謝の意を表する次第である。

 

平成10年3月

財団法人シップ・アンド・オーシャン財団

会長 今市憲作

 

 

 

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