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5.3 既存システムとPMDBとのアダプターの開発

5.1で述べたように、拡張されたPMの表現範囲の広さについての検証は、造船所で現在稼動している既存造船用CADシステムとPMとのアダプターを開発し、データ交換実験を行うことによって検証する。造船所CADシステムの実船モデル情報をPMに適切に取り込むことができれば、拡張されたPMは、実用レベルの表現能力を持つと判断される。

また、初期生産設計アプリケーション、工程設計アプリケーションなど、深さ方向に拡張されたPMの機能検証用に開発する検証用アプリケーションは、既存CADシステムでは対応できない領域を支援する実用レベルのアプリケーションとなるが、これらのアプリケーションを用いて生成し修正された情報を、アダプターを介して既存CADシステムに確実に伝達できれば、高度化されたPM活用の成果が造船所側の既存実用システムにおいても利用可能であることが検証される。

このように、アダプターはPMの拡張結果を検証することを目的としているが、アダプターにより実現される既存CADシステムとPMとのデータ交換機能は、PMに基づくアプリケーションと既存CADシステム間との連繋を可能とし、実運用上の観点からも重要な役割を担うものである。

更に、本開発研究においては、共通化を図ったPMを介して造船所CADシステム間の情報交換による将来の企業間の設計協業を視野に入れており、この面からもアダプターは重要な役割を果たす。

 

5.3.1  アダプターの機能要件

アダプターで実現するべき機能要件を明確化するため、船殻及び艤装PMと既存CADシステムとのデータ交換シナリオをそれぞれ策定した。検討結果を図5.3-1に示す。

このシナリオに基づいたアダプターの機能要件を以下に示す。

(1) データ交換機能の基本要件

アダプターの基本要件は次の通りである。

・既存CADが持つ情報でPMを用いた検討に必要な情報は、可能な限り伝達できること

・PMを用いた検討で新たに生成された情報で既存CADが受け取れる情報は、確実に伝達できること

・データの受け手側に既存情報が存在する場合は、既存情報と伝達された情報との整合性はできるだけ自動処理すること

・データ交換の対象範囲(質と量)が指示可能であること

 

 

 

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