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結果的に、設計部材の配置や形状、属性を決定していく、いわゆる設計作業そのものをFL拡張仕様検討のための対象業務にすることとし、強度や船級協会のルール計算等については将来拡張が可能となるように考慮するにとどめた。また、部品のネスティングなどは対象外とした。

 

4.2.3  構造設計FLに求められる柔軟性

拡張仕様検討のための対象業務を支援するためには多くの機能が必要となるが、特に柔軟性の観点から以下を実現できるFLであることが求められる。

(1) 設計変更に対する柔軟な対応

現状のままでも決定した情報に基づいてモデルを構築するには十分と言える。しかし、設計の初期には試行錯誤が多く、これに伴いモデルを変更する必要が生じる。普通、ある部分を変更するとその影響は関連する他の部分にも波及する。関連する部分をそのままにしておくと矛盾が発生するので、つじつまを合わせるため影響の及ぶ範囲に対して直接的に修正する必要がある。この変更作業を一つひとつ手で行うことは可能だが、人が行う場合は直し間違いや直し忘れがあり得る。そこで、このような変更に伴う関連部材の自動修正を、造船の常識に基づいた一定のルールに従って、システムが自動的にまた間違いなく行えるようにすることが望まれる。

(2) 同時並行作業の支援

設計作業では通常は複数の設計者が分担して1隻の船の設計を行う。隣接する部材を複数の設計者が同時に扱ったり、同じブロックの設計を船殻と艤装の設計者が同時に行うようなケースも頻繁に発生する。このように複数の設計者が同時に作業しても矛盾が起きず、各設計者が更新したデータの整合性が保証されることが望まれる。

(3) 造船の常識を持つモデル

例えば「ロンジはトランスを貫通する」というように、造船には様々な常識がある。しかし、GPME FLは組立産業汎用を目指して構築されたものであるため、「ロンジ」や「トランス」など造船にとっては常識とも言える部材の性格付けや区分を表現できるようにはなっていない。2つの部材が交差する場合、どちらがどちらを貫通するかを決定するための情報が、PM内に全く存在しないことになる。このように、造船に特化してはいるが造船にとっては常識とも言える知識をPMに持たせることによって、より効率的にかつ間違いなくモデルを構築できるようになることが望まれる。

(4) 工作との連携

GPME FLでは、施工法はGTコードや中間製品のネットワークの構造などによって表現される。しかし、一方ではそれらの情報と部材等の情報との間には明示的な関連はないため、

 

 

 

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